<単に人が集まらないだけでなく、資格やスキルを持つ即戦力が見つからないことも要因に>

人手不足が言われるようになって久しいが、その程度を測る指標として「労働者の過不足DI」というものがある。

労働者が不足している事業所の割合から、過剰の事業所割合を引いて算出される。厚労省が3カ月おきに実施している『労働経済動向調査』では、常用労働者30人以上の民間事業所に労働者の過不足を尋ね、上記のDI指数も算出されている。

2020年11月の調査によると、常用労働者が不足していると答えた事業所は32%で、過剰と答えた事業所は7%だ。よって過不足DIは、前者から後者を引いて25ポイントとなる。コロナ禍で雇用が冷え込んでいるとはいえ、まだ人手不足の事業所の方が多い。

時系列変化をたどると、時代の色がはっきりと出ている。<図1>は、1999年から2020年までのDI指数の推移だ。各年の2月、5月、8月、11月の値を平均した数値による。

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1999〜2003年は値がマイナスだ。これは、労働者が不足の事業所よりも過剰の事業所が多いこと、すなわち「人余り」の状況を意味する。

97年に山一證券が倒産、翌年に経済状況が急激に悪化し、自殺者が年間3万人を超えた。まさに経済が「どん底」の時期で、99年に大学を卒業した筆者は当時の状況の厳しさを肌身で知っている。この頃に学校を卒業した世代が、いわゆる「ロストジェネレーション」だ。

その後は団塊世代の定年退職もあり、DIはプラスに転じる。2009年にマイナスになっているのは、リーマンショックの影響とみられる。

2010年以降は人手不足の企業が増える一方で、2018年のDI指数は47ポイントと過去最高になった(不足49%、過剰2%)。団塊世代の退職は過ぎていたが、震災復興やオリンピックに伴う建設需要、高齢化による介護需要などが高まっているためだろう。2020年はコロナ禍の影響でDIはやや下がっているが、人手不足の状況に変わりはない。

求められる「職業」教育
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