<トランプ関税の継続は、バイデンが掲げる経済回復という目標の足を引っ張ることになる>

トランプ前米大統領は在任中、何度も対中関税を引き上げた。2017年1月の就任時に平均で約3%だった対中関税は、19年末に20%を超えていた。

その結果として対中関税は、1930年代前半に国内産業保護を目的に輸入品の関税を大幅に引き上げるスムート・ホーリー法が制定された頃と同水準になった。多くのエコノミストが大恐慌の深刻化を招いたとしている法律だ。

バイデン大統領はトランプの政策の多くを撤回している。今後、対中関税についても撤廃するか否かを決断することになるだろう。

バイデンには、対中関税を撤廃すべき重要な理由が3つある。①対中関税はアメリカの労働者や企業に打撃をもたらす。②貿易赤字の削減にはつながらない。③世界経済のルールに対する敬意を損ねた――の3つだ。

これまでエコノミストが行ってきた調査のうち、トランプが引き起こした対中貿易戦争がアメリカの国民と企業に利益をもたらしたことを示すものは一つもない。

ニューヨーク連邦準備銀行のメアリー・アミティらは、18年に6回にわたって行われた対中関税の引き上げについて調査した。中国はその報復としてアメリカ製品に対する追加関税率を3.5%から18年には10.6%に引き上げており、これによって増えたアメリカ側の負担のほぼ全てが消費者価格に転嫁されたと指摘した。

連邦政府の収入は増えたが

一方、一連の関税引き上げの影響で中国以外の国からの輸入品価格も高騰していた。トランプ関税で連邦政府の収入は増えたが、それは単にアメリカの各世帯が持つ金が財務省に移動しただけのことだった。その他の調査も同様の結論に達している。

トランプ関税は、アメリカの貿易収支の改善にも役立たなかった。19年の対中貿易赤字(約3450億ドル)は、オバマ政権時の16年とほぼ同水準だった。

世界の貿易システムへの信頼を回復させる
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