これらの協定や合意は、冷戦時代のイデオロギー的な緊張感が薄れ、国際協力による紛争解決が可能になった楽観的な時代の遺物のように感じられる。いずれのケースも、それ以上の紛争悪化を防ぐため、不完全な妥協が図られた。その根底には、冷却期間を置けば、紛争はいずれ解決できるという期待があった。

だが残念ながら、いったん暴力が小康状態に入ると、国際的な注目が他へ移り、根本的な対立の原因が解決されないまま紛争は忘れ去られた。ナショナリズムが台頭し、世界中で政情が不安定化している今、各地の紛争は再び爆発しかけている。

アメリカのバイデン次期政権は、トランプ時代の狭い国益にこだわる「ディール外交」とは対照的に、アメリカの国益をもっと広く捉え、世界各地の紛争や問題に再び関与すると公約している。

しかし、世界が30年前に沈静化したと思っていた紛争の再燃に、バイデン政権は大きな驚きとともに直面することになるだろう。

©2020 The Slate Group

<2020年12月22日号掲載>

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