中国への配慮も見せながらの外交戦術
インドネシア政府はナツナ諸島周辺海域でのこうした対中強硬姿勢の一方で、「同海域をめぐる問題が中国との外交関係悪化につながることは避けたい」(インドネシア外交筋)として同海域の問題と中国による経済援助をはじめとする外交関係がリンクしないよう最大限の配慮を示している。
ジョコ・ウィドド政権はジャカルタ近郊の高速鉄道建設やスマトラ島北部の水力発電所建設計画などをはじめとして、政権の主要課題であるインフラ整備で日本と同様に中国の投資、支援を必要不可欠と考えており、こうした経済的側面にEEZ問題の影響が及ぶことを強く懸念しているのだ。
中国が進める「一帯一路」構想には完全に与することなく、海洋権益でも妥協することを避け、その一方でインフラ整備や経済支援ではこれまで通りの良好な関係を中国とは維持していきたい、というのがジョコ・ウィドド大統領の思いである。
ナツナ諸島周辺のインドネシアEEZから中国漁船団が今回退去したことで、とりあえず中国がインドネシア政府の方針を再確認して譲歩した形となったが、今後中国側がどう対応してくるかが注目点となる。


2020年1月21日号(1月15日発売)は「米イラン危機:戦争は起きるのか」特集。ソレイマニ司令官殺害で極限まで高まった米・イランの緊張。武力衝突に拡大する可能性はあるのか? 次の展開を読む。
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます
次のページ