日産自動車のカルロス・ゴーン元会長は逃亡先のレバノンで8日午後3時(日本時間同10時)記者会見を開く。2018年11月に金融商品取引法違反容疑で逮捕されて以来初めての生中継による会見で、日本からの逃亡によって「自由に」発言できるようになったとする立場で何を語るのかが注目される。

ゴーン被告は自身に対するすべての容疑を否認し、仏ルノーとの統合阻止を狙った日産の幹部らによる「陰謀」と「裏切り」の被害に遭ったと主張してきた。

元会長が保釈条件に違反してレバノンに逃亡して1週間余り。国際刑事警察機構(ICPO)からの逮捕手配書も出ており、世界的に著名な経営者としての名声は失われた。

首都ベイルートで開かれる会見の注目点は以下の通り。

予想される発言内容

ゴーン被告は、日産の幹部らがルノーとの経営統合を阻止するために、自身の追放を画策したと主張、日本政府関係者も関与したと述べている。記者会見ではさらに踏み込んだ説明が行われるとみられる。

被告の弁護団はこれまで、被告の追放を求める政府関係者と日産幹部らが「極秘チーム」を結成し、被告はその被害者となったと主張している。

ゴーン被告は昨年4月のビデオメッセージで、「数人の幹部」が「自分たちの利益のため、そして自分勝手な恐れを抱いたため」、自身を標的にしたと強調した。ただ、被告が裏切り行為をした幹部の実名を挙げた場面は、法的配慮から、弁護団によってカットされた。

ゴーン被告は米FOXビジネスに対し、記者会見で、自身を日産から下ろす陰謀に関与した人物の実名を公表する意向を示した。

不正を疑われている他の幹部

日産の内部調査では、ゴーン被告のほかに、西川広人前社長兼最高経営責任者(CEO)を含む複数の幹部が不当な報酬を受け取ったことが判明している。

西川氏は昨年、不当にかさ上げされた株価連動報酬を受け取っていた問題で、辞任を余儀なくされた。

元会長の不正を内部告発したハリ・ナダ専務執行役員も不当な報酬を受け取った疑いが浮上したが、日産は、調査でこれを証明する情報は得られなかったとしている。

他の企業統治リスク

仏紙ルモンドの12月の報道では、ルノーのボロレ前CEOが解任される数日前に、ゴーン被告に関連した日産の内部調査を巡って利益相反などを理由に疑義を呈していたことが明らかになっている。

ボロレ氏は日産取締役会宛の書簡で、ゴーン被告が行っていたとみられる不正金融取引と同様の取引に幹部級社員80人が関与した実態について特に懸念していると表明。社内事項が時として一部役員に報告されていなかったことも問題と指摘した。

日産はゴーン被告の内部調査にはいかなる問題もなかったとコメントしている。

検察にも批判の矛先

ゴーン被告の弁護団はこれまで、検察が日産とその従業員から押収した多数の電子データへのアクセスが拒否されたと訴えている。

日産が企業秘密や従業員の個人情報が含まれているとして懸念を示したため、検察は6000件のデータを不開示としてきた。

[東京 ロイター]
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