拡がるエンタメとARのコラボ
この現実世界とリンクさせ位置情報を反映させたゲームは「ARゲーム」と呼ばれている。AR(拡張現実)技術とは一体どういうものなのだろうか。ARとはAugmented Realityの略で、スマホなどのカメラを通して目の前にある現実をAugmented(拡張)させるためにこの名前がついた。最近よく耳にする仮想現実(VR)は、作り上げられた仮想の世界にあたかも自分が入り込んだように見えるのに対し、拡張現実(AR)は現実世界に非現実を取り込むことなので、一見似ているが趣旨は全く違うものだと言える。
そんな中、今ARゲーム界で注目を集めているのが2019年の秋に新型iPhone発表と同時に正式リリースされるといわれている『Minecraft Earth』である。マインクラフトは、四角のブロックでできたバーチャル世界を楽しむゲームで、そのブロックを積み上げて建築を作ったり、地下に埋まっている鉱山や松明などを掘り当ててリッチな生活を目指したり、家畜を育てて繁殖させるなど、さまざまなことができるゲームだ。2010年からは「マインコン」と呼ばれるマインクラフトのイベントが行われるほどの人気で、2014年には映画化も発表された。今年5月に予定されていた公開は延期されたが、今年4月に公式Twitterとホームページで2022年3月4日公開が発表されている。今年配信予定のゲーム名は『マインクラフト アース』。その名の通り、ARの力で地球をマインクラフトのようにブロック化できるということで、世界中のファンは期待を募らせている。
家具選びからeスポーツにも
ここまで紹介したようにARは『Pokémon GO』の登場で一気に世界に広まった技術のため、ついついゲームばかり注目されがちだが、ほかにもさまざまな活用方法が開発されている。IKEAやアマゾンは、AR技術を家具のネット販売に採用している。室内にカメラを向けると、家具を実際に配置したように3Dで商品が浮かび上がり、画像内で採寸もできるので、実際に購入する前に試してみることが可能なのだ。
ほかにも、ARをスポーツに取り入れた『HADO(ハドー)』というeスポーツも開発されている。今年8月19日には、このHADOを使った公開授業が東京学芸大学附属世田谷小学校で行われる予定だ。ヘッドセットと腕にセンサーを付けた状態で、3対3で対決するスポーツで、エナジーボールを投げあったり、シールドで攻撃を防いだりして点を取りあう。実際には存在しない光の玉を投げ合い対決する姿は、まさにSF映画に出てくる未来のゲームのようだ。今後、このようなスポーツがどんどん登場していくのだろう。
物語へ没入する時代から、物語を現実に招喚する時代へ
『ハリー・ポッター:魔法同盟』は、配信初日から6日間で470万ダウンロードされている。大人気だった『Pokémon GO』の6日間集計3200万ダウンロードに比べると、その人気までには及ばなかったものの、実写映画とARゲームの融合を実現させることに成功した。『Pokémon GO』の登場は世界中に衝撃を与えたが、今回のハリー・ポッターがそれに届かなかったとしても、それに臆すことなく今後の映画界のAR進出は続けていって欲しい。
また今回、人気映画とARゲームのコラボが登場したことで、世界を視野に入れた日本映画の可能性も期待したいところだ。平均製作費がハリウッドの20分の1といわれる日本の映画界。世界が市場のハリウッドに対し、国内中心の日本映画では、当然バジェットを抑えるしかなかった。しかし、今後ゲームに強い日本が、映画のコンテンツと一緒にタッグを組みゲームと共に世界市場に乗り出せば、それ相応の製作費をかけたメガヒット作品を生み出すことができるかもしれない。
時代は今、見慣れた自分の街に映画の主人公やゲームのキャラクターを取り込む方向へ向かっている。自分が物語の世界に入り込む時代は終わり、自分たちの世界に物語を連れてくる時代になったのだ。

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