短期間で生産量を増やそうと、マコーミックはパプア州の農業コミュニティで研修を強化している。消費者が慣れ親しんだマダガスカル産に匹敵する品質のバニラを生産するために、マコーミックは、土壌や水の管理方法を一部変更した。

マコーミックは、2017年にマダガスカルにおけるバニラ収穫の約3割がサイクロン被害を受けた後、市場の復旧に尽力した非政府組織CAREと協力している。同組織は、マダガスカルのほかインドネシアで生産者向けの栽培や管理方法のほか、金融知識を教える研修を行う組織を設立。生産は、女性が担っていることも多い。

CAREは、インドネシアのほかウガンダやタンザニアなども代替生産地として提言したと、CARE農業市場システム部門の副ディレクターを務めるエリー・カガンジ氏は言う。

ベン&ジェリーズのウガンダでの取り組みが失敗に終わった理由は、政府が決めた収穫日の前に、主に中国のバイヤーが「村に大量の現金を持って現れた」からだ、と前出のピント氏は指摘する。

「ウガンダからは、全くバニラを得ることができなかった」と同氏は話した。

ベン&ジェリーズでは、バニラ価格の上昇分は価格に転嫁しておらず、コストを吸収することで競争力を維持することを選んだとしている。だが、他メーカーのバニラ含有製品は、コーヒー用甘味料やヨーグルトからエッセンスに至るまで、小売価格が上昇を続けている。

コンサルティング会社グローバルデータによると、マコーミック製の約60ミリリットルの瓶入りバニラエッセンスの価格は、5月30日時点で、米小売り大手ウォルマートのサイトで8ドル12セント。2015年5月時点の5ドル94セントから上昇しているという。

「バニラはこれまでずっと、店頭には必ずあるありふれた商品だった」と、グローバルデータを率いるニール・サンダース氏は言う。

「消費者は価格上昇に驚くだろうが、アマゾンからウォルマートまですべてが価格を引き上げている時に、何ができるだろうか」

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

[シカゴ/アンタナナリボ(マダガスカル) 3日 ロイター]
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