欧州議会選挙の結果、ポピュリスト政党が獲得した議席はほぼ横ばいだった。しかし欧州議会を仕切ってきた二大会派は過半数を割り、中道右派や中道左派が欧州議会を支配できる時代ではなくなった。

とはいえ、ポピュリスト陣営も分裂しているため、主流派の政治家たちに本格的な挑戦を突き付けることはできないと、政治アナリストのヨルン・フレックは論じる。

フランスの極右政党、国民連合のマリーヌ・ルペン党首は、サルビーニの同盟に対する支持を表明した。だが彼女は5月26日の選挙までの間、バノンとの距離を広げようと試みており、記者団にバノンは「選挙運動にはまったく関係ない」と伝えている。

バノンは自身を選挙の単なる「オブザーバー」と語った。だが報道によれば、バノンは投票日前にパリでルペンと会っていた。

バノンはグローバルなポピュリスト運動のまとめ役になりたいと言う。フランスのルペンやハンガリーの極右ビクトル・オルバン首相、さらにはフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領までを結びつける役割を果たしたい、というのだ。

バノンはまた、ヨーロッパの右腕として、ベルギーの極右政党『人民党』党首のミシャエル・モドリカメンのような男を味方につけている。

だが、バノンの仲間のなかには、イタリアのサルビーニ一派と距離を置く者もいる。ハンガリーのオルバンやイギリスの「ブレグジット党」党首ナイジェル・ファラージだ。ファラージは、イギリスで欧州議会の第1党の地位を手に入れた今、国内の支持者を増やすため、極右路線からは離れつつある。

オルバンは、その反EU的な発言のために、欧州議会で中道右派の議員が所属する「欧州人民党グループ(European People's Party group/EPP)」から参加を拒否された。しかしそれでも、サルビーニのポピュリストグループには入らなかった。ポーランドの極右政党「法と秩序」もサルビーニの誘いを断っている。

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