――そもそも、なぜノートルダム大聖堂に関心を持ったのか。研究対象にした理由は?

私は70年代後半にパリに住んでいて、本を執筆しようとしていた。ちょうどそのとき、大聖堂内の清掃作業が始まった。絶好の機会だった。最上部まで届く足場が組まれていたが、中世建築を専門とする建築史家が現場で調査している様子はなかった。普通なら誰も見られない部分をこの目で見ることができるなんて、一生に一度あるかないかというチャンスだった。

その後、ものすごく長くて、おそらく退屈極まる論文を完成させた。建造物がいかに建てられたかという点に、私は関心を持っている。

――なかでも、石でできた壁部分を検証した。

そう。採寸して、あらゆる細部について記録すれば、いくつのもの時代にまたがる物語が見えてくる。

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――ノートルダム大聖堂の構造に関する知識を基に、再建の道筋を描いてもらえるか。

損壊の程度や修復の優先度を把握するだけでも何カ月もかかると考えている。ボールトが一部崩壊した箇所では特に、まず木製の枠組みや支柱を立てることが必要になるだろう。

これ以上、石材が崩落しては困る。ダメージを受けた部分を一時的に補強する仕組みを整えてからでないと、本格的な修復作業は始められない。

―― 一般公開の再開には長い時間がかかるのではないか。

残念だが、そのとおりだ。だが今回の火災によって、歴史的建造物は壊れやすいという意識が高まるだろうと期待している。維持管理のための寄付や募金活動が盛んになるはずだ。

ノートルダム大聖堂は、パリを訪れたらとりあえず行っておくべき観光名所というだけではない。フランス史に重要な位置を占める極めて興味深い場所だと、人々が考えるようになるのではないか。

From Foreign Policy Magazine

<本誌2019年4月30日/5月7日号掲載>

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