Courtney Rozen

[ワシントン 17日 ロイター] - 米国立公文書記録管理局が運営する政府官報「フェデラル・レジスター」のウェブサイトが、連邦規制案などを検索するための人工知能(AI)ツールとして、中国のアリババグループが開発した「Qwen」モデルを採用していたことが分かった。いつ導入されたかは明らかになっていない。

同サイトでは16日時点で、複数の検索手段の1つとしてQwenを使った検索機能が利用可能だった。ただソーシャルメディア上でその利用を指摘する投稿が出たのとほぼ同じ時期に削除されたことが、ロイターが確認した画面の画像やウェブサイトのソースコードの保存記録から読み取れる。

米連邦捜査局(FBI)は先週、アリババが米AI企業アンソロピックのモデルをコピーして自社のAIツールを開発したと非難。米当局者は中国のAI企業が「産業規模」で米国の技術を「悪意を持って」コピーしているとの見方を示しており、問題視している中国企業AIを米政府機関が実際に使っていた構図が浮かび上がった。

FBIは17日コメントを拒否。国立公文書記録管理局とホワイトハウスはコメント要請に応じなかった。在米中国大使館の報道担当者はコピーを巡る米側の主張について「根拠がない」と反論した。

こうした事態を受け、米政府が中国製AIモデルを巡って発してきた警戒姿勢との整合性を問う声が出ている。情報技術・イノベーション財団(ITIF)のダニエル・カストロ会長は、高性能AIモデルの開発を巡って米中が激しく競争する一方、米政府機関が中国製モデルを採用することには矛盾があると指摘。「これまで見た中でも最も常軌を逸したことの1つだ」とあきれる。

フェデラル・レジスターは、新たに提案された連邦規制などを日々掲載する政府サイト。Qwenは一般から寄せられた公開コメントを検索するためのツールとして提供されていた。

Qwenは「オープンウエート」と呼ばれるAIモデルで、システムの主要部分が公開されている。開発者はモデルをダウンロードし、用途に合わせて改変できる。アンソロピックやオープンAIなどが提供する非公開型モデルに比べ、低コストで利用できる場合がある。

米下院中国特別委員会の委員長を務める共和党のジョン・モーレナー議員は「連邦政府機関は中国製AIモデルを使用すべきではない。使用すれば、米連邦政府の中国製AIモデルへの依存を強めるだけで、国益にはならない」と批判した。

一方セキュリティー専門家からは、オープンウエート型のモデルは企業や組織が自らのITインフラ上で稼働させることができるため、外部事業者への情報提供を避け、機密データをより厳格に管理できるとの意見も聞かれる。

米ジョージタウン大学ロースクールのアヌパム・チャンダー教授は、Qwenの使用が直ちにサイバーセキュリティー上のリスクをもたらしたとはみられないが、リスクの程度はモデルがどのように訓練されたかによって異なるとの見方を示した。

フェデラル・レジスターの掲載内容は既に公開されているため、今回のモデルが政府の機密情報を扱っていたわけではない。

米下院の中国特別委員会と国土安全保障委員会は4月、Qwenを利用している民泊仲介大手エアビーアンドビー に対し、その利用状況について詳細な説明を求める書簡を送付した。米国人が利用するプラットフォームに中国製AIツールを組み込むことによって生じる「国家安全保障上のリスク」に関する調査の一環としている。

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