Michael S. Derby Howard Schneider

[ワシントン 3日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は3日、今後発表される経済指標でインフレ圧力の鈍化が確認されれば、15─16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを支持する考えを示した。

ウォラー氏は、ロイター主催イベント「ロイターネクスト」で、「適切な政策スタンスに関する自分自身の判断は、8月のインフレ動向から得られる情報に大きく左右される」とし、「(インフレ率が)2%目標に向けて進展し続けていることが確認できれば、政策金利を現行水準に据え置くことを支持する用意がある」と語った。

同時に、利上げの可能性も依然としてあると指摘。「インフレ指標が予想以上に強い内容になれば(今月のFOMCで)利上げを検討する」と述べた。

現在3.50─3.75%のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標については、「総需要を抑制する効果は限定的にとどまっている」とし、「インフレが多少加速するだけでも、一段と引き締め的な政策を支持する方向に傾く可能性がある」と指摘。同時に、インフレ率は目標を「かなり上回っている」としながらも、「目標達成に向けて緩やかながらも着実な改善が続いている」との認識を示した。

<インフレ対応が政策の主眼>

ウォラー氏はこの日、経済全体の底堅さや労働市場の相対的な安定を踏まえ、現時点での政策上の主な焦点はインフレにあると述べた。

その上で、最近インフレを押し上げてきた要因の一部は、今後は大きな物価上昇圧力の源泉にはならないとの見方を示した。「エネルギー価格の上昇や関税は、現時点では持続的なインフレ圧力の重要な源泉とは見ていない」と発言。関税引き上げの影響はすでに経済に浸透済みで、中東の紛争に関連したエネルギー価格上昇も他の物価に波及する兆しはないと付け加えた。

一方、インフレの上振れリスクもいくつか指摘。「エネルギー価格は再び上昇しており、2026年初めと比べて依然としてかなり高い水準にある。加えて、経済はAI関連投資に伴う技術関連財の価格上昇圧力や、追加的な関税引き上げの可能性にも直面している」と述べた。

<米国債の「安全性プレミアム」消失>

ウォラー氏はまた、安全かつ流動性の高い米国債に対するプレミアムはもはや存在しないとの認識を示した。米国債利回り上昇の背景として、財政状況への懸念に加え、人工知能(AI)関連インフラ投資との資金獲得競争、さらに米国債価格を押し上げ利回りを押し下げてきた「安全性プレミアム」の低下を示す証拠が増えていることを挙げた。

その上で、「これは自分の中立金利の推計を引き上げる要因になっている。つまり一定のインフレ率に対して政策金利は高めになる、言い換えれば自分たちが思っているほど引き締め的ではないかもしれないということだ」と述べた。

<市場の利上げ観測後退>

正式発言後のコメントでは、物価上昇圧力の鈍化を見極めるため、今後の指標に対してやや辛抱強く臨みたいとの考えを示した。「ここでジョン・レノンの言葉を借りたい。ディスインフレにチャンスを与えよう」と発言。金融政策とインフレを巡っては「来年まで待とうとは言わないが、多少なりとも改善が見られるかどうか、様子を見よう」と語った。

市場ではこれまで、今月のFOMCで0.25%ポイントの利上げが実施される確率が相応にあると織り込まれてきた。ここ数週間、幅広い当局者がインフレへの懸念を表明し続けており、利上げを求める向きや、目標を上回り続ける物価上昇圧力を押し戻すための行動に前向きな姿勢を示す向きもあった。

ウォーシュFRB議長は先週、ワイオミング州で開かれたカンザスシティー地区連銀主催の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演し、インフレ圧力が和らがなければ、それを確実に和らげるためのFRBの行動が必要になる可能性が高いとの見方を示していた。

ウォラー氏の発言公表後、トレーダーは今月のFOMCでの利上げに対する見方を後退させた。利上げ確率は従来の約60%からほぼ五分五分の水準まで低下した。

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