人に依存できない人を救う「グループ」の力

では、アディクションを克服するためにはどうしたらいいのだろうか。この問いに対する答えとして、著者はグループカウンセリングの重要性を説いている。複数の参加者が集まり、各人が自身の体験を話すカウンセリングだ。

 グループカウンセリングで得られる体験は、それを効果と呼べば、一対一ではとうてい得られない効果を生む。50年近い経験からそう思う。いずれその根拠についてはまとめて書こうと思っているが、グループの意味・効果・素晴らしさの体験が先にあり、理論や言葉はそれを追いかけるに過ぎない。

 個人(私)とは何かという視点で自らの心や内面を深く掘り下げていくのではなく、グループ(他者)とともにある存在としての私を認める意味を強調したい。(210〜211ページより)

専門的なことに口をはさむ資格は私にないが、それでもこの考えには共感できる。冒頭で触れたダルクを見学させていただいた際にグループカウンセリングをこの目で見て、素人ながらも納得できたからだ。

すべてがそうなのかは知らないが、そのグループカウンセリングにおいて聞く側は“聞くだけ”が基本だった。意見を口にしたりするのではなく、ただ聞く。そして自分の番が回ってきたら、ただ話す。

そうしたシンプルなやりとりを続けているうちに、何人かの参加者の表情が少しばかり和らいでいくように私は感じた。考えすぎかもしれないけれど。

 私たちは、自分と似た他者=自分と同じ苦しみを抱えている(だろう)他者と集うことで、初めて少しは楽に生きられるようになるのだ。(212ページより)

本当にそうだと思う。

『溺れながら生きる 依存とケアのあいだで』

 『溺れながら生きる 依存とケアのあいだで

  信田さよ子・著
  文藝春秋

 

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[筆者]
印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。他に、ライフハッカー[日本版]、東洋経済オンライン、サライ.jpなどで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」などにも寄稿。『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『この世界の中心は、中央線なのかもしれない。』(辰巳出版)など著作多数。2020年6月、日本一ネットにより「書評執筆本数日本一」に認定された。

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