米ボーイングのエンジニアがノートパソコンとUSBメモリーを手に取り組めば、737MAX型機の失速防止装置のソフトウエアにパッチ(修正プログラム)を当てる作業はものの1時間で完了する。ここまでは簡単だ。

だが、ボーイングの次期主力機737MAXが飛行を再開するには、米連邦航空局(FAA)のほか、2度の墜落事故を受けて運航停止を命じた各国の航空当局から、この修正プログラムの承認を受けなければならない。

中国や欧州、カナダの航空当局は、飛行再開に当たってFAAの判断をそのまま受け入れることはせず、独自の検証を行う構えだ。

737MAXの認証審査を巡ってFAAには厳しい目が注がれている。各国の航空当局が空の安全におけるFAAのリーダーシップに異を唱えていることもあり、飛行再開までに数カ月かかる可能性もある。

「この問題は、7月か8月まで片が付かないだろう」。ボーイングの株主でもあるフォート・スミス・キャピタル・グループの最高投資責任者、チャーリー・スミス氏はこう予測する。

世界最大の航空機メーカーであるボーイングは、昨年10月のインドネシアのライオン航空機墜落事故を受けて、失速を防止する制御ソフト「MCAS」のアップグレードに取り組んできた。この事故は、ソフトが機首を下げ続け、操縦士がそれを修正できなかったことが原因とみられている。

27日の上院公聴会に出席したFAAのエルウェル長官代行は、事前に提出した証言原稿で、「FAAによる事実やデータの分析がそれを適当と認めるまで」737MAX型機の飛行再開を認めない方針を示した。

それによると、ボーイングがMCASソフトウェアの修正案をFAAに正式に提出し承認を求めたのは、1月21日だった。

承認を前に、FAAはMCASソフトウェアの見直しに「直接関与」していたが、「時間の経過とともに、継続的な分析と改善に資するデータが出てきた」という。

客室内の通路が1本の「ナローボディ」であるこの新型機は、10日にエチオピア航空機が墜落し、昨年10月のライオン航空機事故との類似性が指摘され、世界的に運航が停止された。

運航と納入の再開に向けた第一歩として、ボーイングは200社超の航空会社と各国当局に対し、ソフトウエアや訓練の詳細情報を提供する方針だ。

ひとたび修正プログラムが承認を受ければ、作業自体は1機当たり1時間もあれば済むと、FAA関係者は言う。だが作業全体としては、さらに長い時間が必要になる可能性がある。

FAAとボーイングは、機能上の異常事象を抽出し、機体に与える影響を検証する作業を含め、分析の一部をやり直す必要がある。すでに認証を受けたシステムに変更を加えるためだ。

パッチを当てた後は、地上試験と飛行試験が行われるが、必要となる期間には幅がありそうだ。

「もちろん飛行再開を求められているが、同時に、承認は適切に行わなければならないというプレッシャーも大きい」と、前出のFAA関係者は話す。

「事を急いて、後で問題が出てくるような事態は絶対に避けなければならない」

ボーイングとFAAは、コメントの求めに応じなかった。

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