Nidal al-Mughrabi Dawoud Abu Alkas
[カイロ/ガザ 3日 ロイター] - パレスチナ自治区ガザの住民から、トランプ米大統領がイスラム組織ハマスの武装解除と戦争終結を目指す合意の進展を強調したことについて、現地の厳しい実情とかけ離れていると反発する声が上がっている。3日にはガザ保健当局がイスラエル軍による攻撃で少なくとも18人が死亡したと発表し、昨年の停戦以降でも最悪規模の犠牲者数となった。
トランプ氏は7月31日、昨年10月に合意されたガザ和平計画の履行に向けた「重大な節目」だと表明するとともに、ハマスが武装解除してイスラエル軍が段階的に撤退すると述べた。
ただその後すぐに合意を巡る問題が浮上。イスラエルのカッツ国防相は2日、ハマスの武装解除と地下トンネルの破壊が完了するまで、ガザ駐留部隊は撤退しないと発言した。一方ハマスはイスラエルが攻撃を停止して初めて武装問題に関する合意履行を開始すると主張している。
トランプ政権が主導するガザ暫定統治機関「平和評議会」の上級代表を務めるニコライ・ムラデノフ氏は3日、ネタニヤフ首相らイスラエル高官と会談した。平和評議会はXへの投稿で、協議は「建設的かつ詳細なものだった」と説明した。
平和評議会は「目標は明確で、ガザ地区の全ての武器の廃棄と、武力支配から文民統治への移行だ」と強調。その実現には段階的な過程が必要であり、今後の作業で具体化するとした。
また昨年10月の米国仲介による停戦で設定された軍事境界線「イエローライン」より外側へのイスラエル軍の全面撤退については、ハマスが仲介国に約束した武装解除完了後にのみ実施されるとの見解を示した。対象には軽火器や重火器、地下トンネルが含まれるという。
交渉に詳しいパレスチナ当局者はロイターに、評議会の声明が武器問題にのみ焦点を当て、停戦やガザへの攻撃停止といった合意済み事項に言及していないことをパレスチナ各派が懸念していると明らかにした。各派は声明への対応を協議しているが、先月30日に合意した内容への支持は維持しているという。
イスラエル軍は現在、ガザの約3分の2を占領して住民を排除しているとされる。200万人を超える住民のほぼ全員が沿岸部の狭い地域に押し込められ、多くがテントや損壊した建物で生活している。
ガザ市のアヤ・モハメド・ザキさん(32)は「戦争が再開されたかのようだった。1時間ごと、あるいはそれ以下の間隔で攻撃があり、北部、中部、南部の至る所が空爆された」と語った。
3日の犠牲者には、ガザ市の集合住宅への空爆で死亡した夫婦と子どもも含まれる。イスラエル軍はこの攻撃を含む一連の空爆では戦闘員を標的にしたとしている。
仲介役を務めるエジプト、カタール、トルコは共同声明を発表し、イスラエルによる継続的な攻撃を非難。「こうした違反行為の継続は合意違反に当たり、第2段階実施への努力を損なう」と訴えた。
昨年の停戦では、当初ガザの53%をイスラエル軍が管理し、その後撤退する予定だった。しかし実際には支配地域が拡大。カッツ国防相は2日、地下トンネル捜索のためイスラエル支配地域が60-70%に達したと認めた。
ガザ市のスーマ・ダウラさん(60)は、自宅近くのイスラエル管理区域が拡大して境界を示す黄色いブロックがさらに近くへ移動したと明かした上で「われわれはいつでも避難を強いられる状況だ。人生も未来も、子どもたちの未来も失われた」と嘆いた。
ダウラさんはトランプ氏の発表に期待したが、「逆に破壊も避難も増えた」と話す。
7人の住民の話では、イスラエル軍によるイエローライン拡大で、ガザ市やデイル・アルバラハ、ハンユニスなど少なくとも5地域で住民避難が発生した。