Yoshifumi Takemoto
[東京 3日 ロイター] - 日銀は3日、7月31日に概要を公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の全文を公表した。企業間取引における物価上昇圧力の背景や影響に関する分析を掲載し、先行きについて、原油価格の下落が続いても、エネルギーを除く国内の財価格には当面、粘着的な上昇圧力がかかり続ける、との見通しを示した。利上げは利子所得の増加を通じ家計全体ではプラス効果を享受しやすいとも指摘している。
展望リポートでは、原油価格下落の影響について、川上の化学製品等では、サーチャージ(上乗せ)やフォーミュラ(売価計算式)に従って販売価格も下落傾向に転じると見込まれるが、川中・川下での化学製品の値上げには人件費や物流費の上昇の転嫁分も含まれるため、これらの価格は下方硬直的に推移するとみられると分析。他方、人工知能(AI)関連需要の増加というグローバルな需要ショックの波及効果や、既往の為替円安とその下での内外価格差の解消圧力は、しばらくの間、持続的に作用し続ける可能性が高い、と指摘している。
これらの要因を踏まえ、エネルギーを除く国内の財価格には当面、粘着的な上昇圧力がかかり続けると結論づけた。
家計のバランスシートに関し、資産サイドでは2400兆円程度の金融資産のうち、預金が1000兆円程度を占め、保険・年金が600兆円程度、株式・投資信託が 550兆円程度となっている一方、負債は 400兆円程度にとどまり、その過半は住宅ローンが占めると指摘。その上で、政策金利の引き上げは、預金金利上昇に伴う利子所得の増加をもたらす一方で、住宅ローン等の利払い負担増加につながるが、「家計全体としては、預金総額が住宅ローン等の借入額を大きく上回るため、金利上昇によるプラス効果を享受しやすい」と総括している。