Balazs Koranyi

[フランクフルト 31日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は31日、銀行ストレステスト(健全性審査)結果を公表した。戦争、サプライチェーン(供給網)の混乱、サイバー攻撃などがユーロ圏の銀行が直面する主要なリスクとし、深刻なストレスにさらされた場合、一部銀行が外貨流動性要件を満たせなくなる可能性があると指摘した。

従来の健全性審査では特定のシナリオに対する対応を策定するよう求めていたが、今回のいわゆる「リバース・ストレステスト」は、普通株式等Tier1(CET1)比率を3%ポイント低下させるようなシナリオの策定を銀行に指示した。

ECBによると、トリガー(引き金)の事象として「軍事紛争、エネルギー供給の混乱を含むサプライチェーンの混乱、経済制裁、マクロ経済の信頼感への影響、政治的不安定、サイバー関連の攻撃」などが最もよく挙げられた。

さまざまなシナリオの下でも、銀行の流動性ポジションは概ね規制上の最低要件を上回ったが、ECBは「一部の銀行で、ショックを資本や流動性への影響に換算する方法に矛盾があることが明らかになった」とし、「ストレステストの枠組みを改善させるため、対象となる銀行へのフォローアップを行う」とした。

外貨流動性は構造的に一段と逼迫しており、一部の銀行ではストレスがより顕著になり、その結果、100%という最低流動性カバレッジ比率を下回る可能性があるという。

一部銀行は外貨流動性指標の変動を限定的、あるいは全くないと予測して外貨リスクを過小評価しており、資金調達リスクを的確に把握する能力を制限していると指摘。過去の危機的事例が、流動性や資金調達の逼迫と銀行の支払い能力との間に密接な関連があることを示しているだけに、こうした状況は問題となる可能性があるとした。

<湾岸、中国、台湾が主要リスク>

ECBが直接監督する110行のうち、4分の1が最も関連性の高いリスクとして中東紛争を挙げた。ウクライナ戦争の激化、米中貿易関係の悪化、台湾を巡る緊張の高まりなどが主要なシナリオに含まれた。

各行は、実体経済を通じてリスクが波及するとともに、金融市場も二次的ではあるものの重要な経路になると想定した。

ECBは「軍事紛争は特に農業、宿泊・飲食サービスにとって打撃となる一方、マクロ経済の信頼感への影響とサイバー攻撃は製造業や運輸業に強い影響を与える」とした。

「エネルギー供給の混乱を描くシナリオは、幅広いセクターに悪影響を及ぼすもようだ」と指摘した。

シナリオには、事業売却、増資、配当削減など、銀行経営陣による緩和措置も含まれており、これらの措置によって資本損失の3分の1強が相殺されたとECBは説明したが、これらの措置の一部について「実行可能性の点で、事実に基づく証拠によって十分に裏付けられていないように見える行動を想定している」と懐疑的な見方も示した。

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