Lucia Mutikani
[ワシントン 2日 ロイター] - 米労働省が2日発表した6月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は5万7000人増加と、エコノミスト予想を大幅に下回った。前月分と前々月分もそれぞれ下方修正された。労働市場の減速が示されたことを受け、金融市場では米連邦準備理事会(FRB)が近く利上げに踏み切るとの観測が後退した。
ロイター調査によるエコノミスト予想は11万人増。予想レンジは2万5000人増ー20万人増と、幅広かった。
失業率は4.2%と、前月の4.3%から低下。ただ、約72万人が労働市場から離脱したことが背景にあり、労働参加率は61.5%と2021年3月以来、約5年ぶりの低水準に落ち込んだ。失業率は5月まで3カ月連続で4.3%で横ばいだった。
4月と5月の非農業部門雇用者数は、従来発表から合計7万4000人分下方修正された。ただそれでも、第2・四半期(4─6月)の伸びの月平均は11万1000人と、前年同期の3万4000人を大きく上回った。
<時間当たり賃金、前年比3.5%増とやや加速>
6月は雇用が増加した業種の割合が54.4%と、5月の56.0%から低下した。雇用増の勢いが鈍化する中でも、賃金の伸びはやや加速。時間当たり賃金は前年比3.5%増と、5月の3.4%増からやや上昇した。ただ、賃金上昇率は物価上昇率をなお下回っており、賃金の伸びはインフレを加速させない水準を維持している。
一部のエコノミストは、雇用の伸びが予想以上に鈍化した背景には中東情勢の混乱による影響が遅れて表れた可能性があると指摘。中東での戦闘に伴うガソリン価格の上昇でインフレが押し上げられたことが雇用の減速につながっているとしており、根拠として、娯楽・接客業の雇用者数が6万1000人減と、パンデミック期以降で最大の落ち込みとなったことを挙げた。
ただこうした中でも、多くのエコノミストは労働市場はなお「採用も解雇も低水準」という状態にあると判断しており、FRBは引き続き、雇用情勢よりも物価情勢を重視する可能性があるとの見方を示している。サンタンデールUSキャピタル・マーケッツの米国担当チーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「大半の政策当局者は、労働市場は安定しており、過熱もせず、冷え込んでもいないとの見方を維持する」と予想。「金融市場で年内の利上げ観測が後退するなど条件反射的な反応がみられたが、そうした見方は適切な反応ではないと考えている」と語った。
FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「FRB当局者は反応関数を明確に示していないが、今回の雇用統計を歓迎しないのは明らかだ」と指摘。「わずか1カ月前まで堅調だった雇用情勢が、中東での戦争の影響が遅れて出た可能性を背景に突然軟調になった」とし、労働市場の状況がどちらに向かっているのか見極めるのは難しいとの見方を示した。
雇用統計を受け、金融市場ではFRBによる7月会合での利上げ確率が20%弱に低下した。9月会合での利上げ確率は依然として約60%織り込まれているものの、雇用統計発表前の約75%からは低下した。
<レジャー・接客、小売で減少>
業種別では、専門・企業サービスが3万6000人増と最も伸びた。社会扶助は2万5000人増。建設は1万1000人、製造は3000人、それぞれ増加した。ただ、医療は2万2000人増にとどまり、過去1年間の月平均3万8000人増を下回った。
レジャー・接客は6万1000人減。サッカーのワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会による雇用増への期待に反し、2020年12月以来の大幅な落ち込みとなった。レストラン・バーは3万2900人、ホテルを含む宿泊業は2万1700人、それぞれ減少した。
ロヨラ・メリーマウント大学のソン・ウォン・ソン金融・経済学教授は「旅行、外食、ホテル、娯楽関連業界は通常は6月は活況を呈している」と指摘。「今回減少したことはこれまでの堅調な伸びの反動という面もあるが、低所得層が支出を抑え始めている可能性があり、広範な懸念も浮上している。サービス業主の間で夏場の需要に対する自信が弱まっている可能性もある」と述べた。
他の業種では、小売が7500人減。情報産業も9000人減少した。金融は横ばい。
政府は8000人増。5月は3万2000人増加していた。
雇用統計は通常は金曜日に発表されるが、4日の独立記念日を控え3日は休業日となるため1日早く公表された。