Sarah Young Elizabeth Piper
[ロンドン 29日 ロイター] - スターマー首相は火曜日、長らく延期されていた投資計画の一環として、英国軍の近代化のために150億ポンドを追加支出することを表明した。この計画は将来の戦争に備えるとともに、スターマー氏の政治的遺産と位置付ける狙いがある。スターマー氏にとってこれが事実上、首相として最後の主要政策発表となる見通し。
スターマー氏は、国防投資計画が以前の草案よりも踏み込んだ内容になったと述べた。以前の草案を巡っては、首相の盟友であるジョン・ヒーリー国防相(当時)が辞任に追い込まれていた。ヒーリー氏は、英国の安全を守るのに十分な予算を確保できていないとしてスターマー氏を批判していた。
今回の計画では、2029年までに年間約800億ポンドの国防支出を見込む。ドローンや自律型兵器への投資に50億ポンドを投じ、ハイブリッド海軍を創設するとともに陸軍の戦闘力を強化するという。スターマー氏は、この計画は英国の核抑止力を強化し、英国空軍向けの次世代ステルス戦闘機開発計画を後押しし、雇用創出と経済成長の促進にもつながると強調した。
スターマー氏は、これを7月7日─8日にアンカラで開催されるNATO(北大西洋条約機構)首脳会議で提示し、英国が2035年までに国防費をGDPの3.5%にするという公約を達成する軌道に乗っていることを示したい考え。
NATO加盟国は35年までに国内総生産の5%を防衛費に充てることで合意した。内訳は、中核的な防衛ニーズに3.5%、より広範な国家安全保障に1.5%となっている。スターマー氏によると、新たな計画では、その公約の下で、英国の国防費はGDPの4.2%に達するという。
しかし、後継者と目されるアンディ・バーナム氏が早ければ7月20日にも政権を握る予定であることから、スターマー氏は新政権が自身の構想を「発展させる」可能性があることを認めた。
一部の専門家は、9カ月以上も遅れたこの計画は、不十分で遅すぎると指摘した。
かつて統合軍司令官を務めたリチャード・バロンズ将軍は、この計画は進歩を示すものだが、英国は依然としてぜい弱な状態に置かれるとの見通しを示した。国防当局は、今後4年間で280億ポンドの資金不足が生じると述べており、150億ポンドの増額でも不足分を埋め切れないため、一部の装備品は購入されないか、購入が遅れる可能性があるという。