[シントラ(ポルトガル) 29日 ロイター] - ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は29日の講演で、ユーロ圏経済は経済ショックに対する強靱(きょうじん)性を以前より高めているため、ECBは金融ストレスを引き起こす懸念なく、より容易に利上げを実施できるようになっているとの見解を示した。
ラガルド総裁は、こうした強靱性はECBの政策手段の拡充やユーロ圏の金融制度の改善、銀行監督の強化などによって支えられていると説明した。
ラガルド総裁によると、ユーロ圏は今後数年、インフレショックに直面する可能性が高まるとし、政策当局者は物価の変動を単に静観するか、断固たる行動を取るかというジレンマに直面する公算が大きい。
総裁は、こうした状況への対処にあたっては経済の強靱性が寄与する可能性があるとし、「インフレ率を目標から押し離すショックに直面する可能性は高まっているが、欧州が築いてきた強靱性により、こうしたショックが経済に及ぼす影響は抑制されている。われわれは静観できるショックと断固として対応すべきショックとの間の中間領域にいることが、より頻繁になるかもしれない」と語った。
このグレーゾーンでの適切な対応にはECBの革新が必要であり、今後の意思決定にあたっては、過去数年間に行ってきた革新が役立つとした。
ECBは現在、データ分析の進歩を活用して経済・物価動向のリアルタイムな状況を把握しており、見通し作成の改善にも多額の投資を行ってきた。これらの見通しは過去数カ月の変動の中で信頼性が高いことが証明されている。
ラガルド総裁は「この2つは互いを強化し合う。われわれは予測を入ってくるデータと継続的に照合し、予測が依然として正しい軌道にあるかを検証できる。これにより、古くなった予測に頼ってしまう事態を避けることができる」と説明した。
こうした政策フレームワークは、ECBに行動の時間的余裕も与える。金融市場は実際の政策変更のかなり前から行動を織り込み始めるからだ。
ラガルド総裁は、ECBが6月に利上げを決断する前から市場はすでに利上げを十分に織り込んでおり、これにより政策当局者はデータを精査し、より自信を持って判断する時間を得られたと明らかにした。