[ベイルート 29日 ロイター] - イラン武装組織ヒズボラと関係の近いレバノン国民議会のベリ議長は29日、レバノンとイスラエルの戦闘終結へ向けた枠組みを巡る26日の合意を強く非難し、合意は「実施されない」との見解を示した。レバノン国民の分断につながる恐れがあると警告した。
イスラエル当局者は合意が今後数日で進展するとの見通しを示したが、合意の各側面が現地で実施されたとの報告は現時点では出ていない。レバノン国営通信によると、イスラエル軍は29日、レバノン南部の国境付近に砲撃を行い、ベイルート上空ではドローンの飛行音も確認された。
ベリ氏はレバノン紙アル・アフバールで、イランと米国の協議のみがレバノンからのイスラエル軍撤退を確保する現実的な機会だと述べ、レバノンを米イラン協議の枠組みから切り離そうとするいかなる試みも、イスラエルの「占領」を長引かせることになると指摘した。
またベリ氏は、合意を「ディクタット(命令)」と表現。合意の最も危険な側面には「内部対立を煽り、レバノン国民を相互の対立に引き込む可能性」が含まれるとし、合意は「実施されない」と語った。
米イスラエルによるイラン攻撃後、3月初旬に始まったヒズボラとの戦闘で、イスラエルはレバノン南部の広範な地域を占領。イランは米国との覚書合意の一環としてレバノンでの停戦を主張しており、米国はレバノンとイスラエルの政府間の協議を仲介している。
イスラエルのネタニヤフ首相は、今回の合意に基づけば、ヒズボラが武装解除に応じない場合はイスラエル軍がレバノン南部の占領地域に駐留し続けることが可能になるとの考えを示した。イスラエル軍が戦闘継続中に占領した地域から撤退する2つの「試験区域(パイロットゾーン)」が設けられ、レバノン軍が段階的に引き継ぐことになる。
ヒズボラは、合意をイスラエルへの降伏だとして拒否している。ヒズボラ幹部のマフムード・クマティ氏は29日、合意は「事実上死んでいる」と述べた。レバノンのアル・ジャディードTVに対し、合意は実施されようがなく、「何らかの行動を取ったりする理由はない」と語った。
イスラエル高官は、イスラエル軍が撤退する試験区域のプロセスは「直ちに」開始されると述べたが、詳細には言及しなかった。別のイスラエル高官は、試験区域からの「再展開」は今後数日で開始される可能性があるとした。
イスラエル政府が公表した地図によると、レバノンの試験区域にはフルン、ザウタル・アルガルビエ、ガンドゥリエの各村が含まれる。
2人のイスラエル高官はそれぞれ、これらの地域は最近、交渉のテコとして使うためにイスラエル軍が制圧したものだと述べた。エアバスが6月24日に撮影したフルンの衛星画像では、村の広範な部分が破壊されていることが確認された。
レバノンのアウン大統領は27日、トランプ米大統領との電話会談で、米政権がイスラエルにレバノン南部からの撤退を強く求めるよう期待すると述べた。
イスラエル軍は28日、ヒズボラによる停戦違反への対応としてレバノン南部のヒズボラ指揮拠点を攻撃したと明らかにした。
ヒズボラは29日、「これまでのところ」停戦を実施しているとしつつ、「自国と人々を守る」権利を留保すると主張した。