Kane Wu Yantoultra Ngui

[香港/シンガポール 26日 ロイター] - 中国本土のテクノロジー企業による新規株式公開(IPO)が2023年以降で最も好調な年になる勢いを見せている。米国との対立が深まる中で中国政府が技術の「自立自強」を目指し、国内の半導体や人工知能(AI)企業の上場を後押ししているためだ。

LSEGのデータによると、今年6月18日までに中国市場に上場したテクノロジー企業による資金調達額は計31億ドルに達し、前年同期の5倍を超える規模となった。

ロイターが届け出書類に基づいて算出したところ、ロボット関連のスタートアップや半導体企業など約50社が上海および深センでのIPOを申請しており、その資金調達計画は総額で少なくとも1261億元(187億ドル)に上る。

上場を目指す企業の1つ、メモリー半導体メーカーの長鑫存儲(CXMT)は、上海でのIPOで295億元の調達を計画。LSEGのデータによれば、これが実現すると今年最大規模となり、年間の総調達額を3年ぶりの高水準に押し上げることになる。

国内上場の勢いが増している背景としては、中国の規制当局が17日に量子技術、核融合、脳コンピュータ・インタフェース(BCI)といった「未来産業」のスタートアップの上場を支援すると表明したことが挙げられる。

また上海証券取引所は、自国企業のAI開発を促進する取り組みの一環として、大規模言語モデル(LLM)企業が「科創板(スター・マーケット)」で公募増資を行いやすくするための規則を公表した。

法律事務所デビス・ポークで日本を除くアジア地域プラクティス共同責任者を務めるリー・ヘ氏は「テクノロジー企業のIPO加速は、これらの企業を支援してきたプライベートエクイティ(PE)やベンチャーキャピタル(VC)基金にとって、待ち望んでいた出口(イグジット)の機会を提供している」と述べた。

LSEGのデータによると、中国のテクノロジー企業による国内市場での年間調達額は、23年の157億ドルから24年には27億ドルまで落ち込んだが、25年に36億ドルへ回復した。これに対し25年に中国のテクノロジー企業が香港で調達した額は66億ドルだった。

中国証券監督管理委員会(証監会)は今月初めに上海で開催された金融フォーラムで、本土上場を目指す適格な香港上場企業を支援する方針を明らかにした。

光大証券国際のストラテジスト、ケニー・ン氏は、証監会による支援は本土市場へのアクセスを広げ、流動性を向上させる可能性があると説明。「将来的に他地域の香港上場企業も含まれるようになれば、投資家により多様な選択肢を提供し、市場にさらなる流動性をもたらすことができる」と付け加えた。

例えば1月に香港でのIPOで43億5000万香港ドル(5億5520万米ドル)を調達した智譜AIは、科創板への上場を通じて150億元の調達を目指していると今月初めに発表した。

シティグループのアジア太平洋地域テクノロジー・通信部門共同責任者、ホーイン・リー氏は、本土への上場は香港市場で取引されている企業が、より広範な市場や国内投資家にアプローチする助けになるとの見方を示した。

「企業は厚みのある資本プールにアクセスし、事業成長のための資金を得られるだけでなく、国内での強力なブランディングも可能になる」という。

最近は本土のテクノロジー企業のIPO案件に対する投資家の人気が高く、その点からも中国の上場市場復活への期待を後押ししている。

ゴールドマン・サックスの日本を除くアジア地域株式資本市場部長を務めるジェームズ・ワン氏は、中国のテクノロジー企業の上場が増えているのは、世界的なAIブームの一部であり、中国と米国はその流れを決定づける2つの市場だと強調した。

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