[ロンドン 22日 ロイター] - 格付け会社フィッチは22日、新興国政府が資金調達手段として活用するケースが増えている「トータル・リターン・スワップ(TRS)」について、透明性や構造的なリスクへの懸念が高まっていると指摘した。
TRSは既存の債務を担保とするデリバティブ(金融派生商品)で、セネガル、アンゴラ、ナイジェリアなどの国がここ数年、ハードカレンシー(国際決済通貨)の調達に利用してきた。コロンビアなど一部の中南米諸国も同様の手法を用いている。
英スタンダードチャータードなどの銀行は今後予定されている取引が多く控えているとしている。
• フィッチは「TRSは厳しい市場環境下でもハードカレンシーの流動性を確保する手段となり得るほか、従来の起債に比べて借り入れコストを低減できる可能性がある」と述べた。
• ただ、契約条件が公表されないことが多いため、「国家による借り入れの真のコストと規模」を評価することが困難になっていると警告した。
• また、TRSには「景気循環に連動するリスク」も伴うと指摘。担保として国債が使用されている場合、信用リスクが高まると担保価値が下落する可能性があり、追加担保の差し入れが必要になったり、契約の早期終了を迫られたりする恐れがあるとした。
• その結果、政府の流動性がすでに逼迫している状況下で、予期せぬハードカレンシーへの需要が生じる可能性がある。
• フィッチは、アンゴラとナイジェリアの後続案件については資金調達手段の多様化と流動性管理に重点が置かれているとの見方を示した。
• 一方、セネガルのTRS利用については「市場のストレス期における資金調達コストの削減や情報開示の制限とより密接に結びついている」とみられると指摘した。
• また、ソブリン債務の再編においてTRSがどう扱われるかについて確立された先例がなく、その構造と相対的な不透明性により、「偶発債務が顕在化した場合に債務の希薄化が生じる可能性を踏まえると」、従来の債券保有者にとってリスクが高まるという。