Jacob Bogage Alexandra Alper
[ワシントン 22日 ロイター] - トランプ米大統領は22日、科学研究向けの高性能な量子コンピューターの開発を推進するとともに、量子コンピューターに関連するサイバー脅威から政府システムを保護する取り組みを加速させる大統領令に2本に署名した。科学技術やサイバーセキュリティーの在り方を一変させる可能性がある量子技術を巡り、中国との開発競争で米国の取り組みを強化する狙いがある。
ホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)のクラツィオス局長によると、大統領令には「米国の経済、国家安全保障を損なおうとする競合国や敵対国」を念頭に、知的財産権の保護のほか、供給網の安全確保に関する国際協力の強化などが盛り込まれている。
このほか、量子コンピューターを利用したサイバー攻撃から政府のコンピューターを守るため、2030年または31年までに政府の主要なコンピューターシステムを、量子コンピュータでも解読が難しい「耐量子暗号(PQC)」に基づくシステムに移行する目標も盛り込まれた。
量子コンピューターは量子力学の法則を利用して情報を処理し、現在のスーパーコンピューターを大幅に上回る速度で特定の複雑な問題を解くことができる。既存の暗号技術を解読し、コンピューターをハッキングから保護する仕組みを無力化する可能性があるため、攻撃的なサイバー攻撃への懸念が高まっている。
クラツィオス局長は、量子コンピューターは「2028年までに実現可能」と予想。量子技術は人工知能(AI)や材料科学、化学分野の発展を後押しする可能性もあるとみられる中、トランプ大統領がこうした大統領令に署名したことで、政権が量子技術を巡る中国との競争で米国の主導的地位を確保するとともに、サイバーセキュリティー上の脅威への対応強化を重視する姿勢が浮き彫りになった。