Angelo Amante Crispian Balmer

[ローマ 19日 ロイター] - ドナルド・トランプ氏が2025年に第47代米大統領として2期目の任期を開始した際、イタリアのメローニ首相は欧州の指導者としてただ1人就任式に招待され、米伊関係の黄金時代を予感させた。

だが1年半が経過した現在、2人の個人的な関係は壊れてしまったように見える。複数の専門家の分析では、メローニ氏は国際舞台で孤立し、同氏の国際戦略が深刻な妥協を迫られている。

ともに右派である2人の間の関係緊張は米国とイスラエルがイランに対して戦争を始めると同時に表面化。この戦争は欧州経済に打撃を与え、イタリア国内で強力な反戦世論を呼び起こした。

フランスで先週開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)の映像では、2人が意見の相違を解消したかのように見えたものの、そうした希望は19日になって打ち砕かれた。トランプ氏がイタリアのテレビ局に対して、メローニ氏が自分といっしょに写真を撮ってほしいと「懇願してきた」と語ったからだ。

メローニ氏はすぐに反論し、トランプ氏の話は事実無根だと主張。さらに踏み込んで、トランプ氏が古くからの友人に対するよりも西側諸国の敵対勢力にはるかに大きな敬意を示していると非難した。

「彼が覚えておくべきことが一つある。私もイタリアも決して懇願などしない」とメローニ氏は言い切った。

<お世辞と友情が裏目に>

メローニ氏の交流サイト(SNS)上の毅然とした対応はイタリア政界で大部分の政党から歓迎された。多くの政治家はトランプ氏の発言をイタリアに対する侮辱だととらえた。

とはいえ専門家は、イタリアの世論が今後、メローニ氏が米政府により一貫した対応を取るとともに、気まぐれなトランプ氏に対してこれまで続けてきた歩み寄りの努力を放棄するよう求めるようになると予測する。

ボローニャ大学の政治アナリスト、ピエロ・イニャーツィ氏は「メローニ氏はトランプ氏が不快な発言をするたびに対応を変える訳にいかない。彼女はより妥協しない姿勢を取るか、あるいはカナダなどのように、より強硬な態度を示すかどうか決断しなければならない」と述べた。

野党の指導者らはすぐに、この前代未聞の決別により、メローニ氏の当初の戦略であった『お世辞と友情』が失敗したことが露呈したと指摘した。

中道系野党を率いるマッテオ・レンツィ元首相は「トランプ氏との間に架け橋を築こうとするのはもうたくさんだ」と語った。

<イラン戦争で窮地に>

トランプ氏の大統領再選は、メローニ氏にとって、似通ったイデオロギー的見解を共有する政治的な同盟国と特別な関係を築き、それによって米政府とトランプ氏に懐疑的な見方が大半を占める欧州との間の橋渡し役を果たす好機に見えた。

トランプ氏は当初、彼女を絶賛し24年から25年にかけて「素晴らしいリーダーであり素晴らしい人物」「美しい若い女性」「非常に成功した政治家」「全ての人々に対してインスピレーションを与える人」などと何度も称えていた。

トランプ氏が欧州連合(EU)に全面的な関税を課した際も、メローニ氏はトランプ氏に対して穏健な調子を維持して他のEU加盟国と距離を置き、共通の敵に対抗するために西側陣営の結束を維持することが重要だと話した。

メローニ氏はまた、ウクライナを支持しようとせず、ガザ紛争の終結に向けてイスラエルに圧力をかけるのを渋っているトランプ氏に他の欧州首脳が懸念を示していた時でさえも、公の場でのトランプ批判を避けていた。

<原罪>

だがイランでの戦争がメローニ氏を追い詰めた。4月、トランプ氏がこの紛争を批判したローマ教皇レオ14世を激しく非難したことで状況は急激に悪化した。メローニ氏が教皇の擁護に回ったため、トランプ氏は勇気が欠けていると彼女を非難した。

メローニ氏はまた、米国側が必要な手続きに従っていないとして、イランでの戦争のための武器を運ぶ米軍機に対してシチリア島の航空基地の利用を拒否した。

政治リスクコンサルタント会社ポリシー・ソナーのフランチェスコ・ガリエッティ氏は「これがトランプ氏から見て『原罪』となった」と話した。

ガリエッティ氏によると、メローニ氏は、イタリアの世論調査で極めて不人気なトランプ氏に立ち向かうことで短期的には国内で支持を得られる可能性があるものの、来年に予定されている選挙を前に自らの政治的主張の土台を失うリスクを冒しているという。

さらにガリエッティ氏は「これは痛烈な打撃だ。『最も安全で信頼できる人物』として最終的に支持を集めて勝利するという戦略を完全に台無しにしてしまった」と語った。

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