ロンドン―バーミンガム間(当初の計画では「フェーズ1」とされていた)は、本来なら今頃には開業しているはずだった。そのうち、スケジュール通りに進まないとの通知があり、開業予定は2033年になると言われた。
ところが今となっては、2036~39年になりそうだとされている。鉄道ファンの多くが、その日を見届けるまで生きていられないのではないかと心配になる。
誰も行かないような場所が当面の終着点
まだ話には続きがある。列車がロンドン中心部のユーストン駅にまで乗り入れるようになるのは、早くとも2040年、ひょっとすると43年12月になりそうだ。それまでは、HS2はロンドンの外れの地点を始発・終着駅にすることになる。僕はその地点(もしくはその周辺)に行ったことのある珍しいタイプの人だ。グランド・ユニオン運河沿いを歩くのが好きだからというのが理由だが、何度かその地点で足を止めたことがある。
ぬかるみがちだが気持ちの良い緑地があり、大きなビクトリア朝の刑務所があり、ロンドン史上最も悪名高い犯罪、1966年の警官3人殺害事件の現場もある。この場所が、それ自体で訪れたい「目的地」として機能するとは思えない。
最後の点だが、費用を抑えるために列車の最高速度は時速360キロから320キロに下げられる予定だ。そんなわけで上記のゴタゴタを経た挙句、全線で短縮される時間は30分にも満たないことになる。路線が短すぎて、大きな時間短縮にはならないのだ。
なぜ総工費を1030億ポンドと言わずに1027億ポンドと細かく言うんだろうと僕は不思議に思ったが、よく考えたら1030と1027では3億ポンドも差があり、決して小さい額ではない。となると、端数まで正確に言おうとしているのに、なぜ総工費877億〜1027億ポンドなどと言って150億ポンドもの幅を出すのを何とかできないものなのかと、疑問がわいた。