<費用は倍増、路線は半減、当分はロンドンの外れまでしか乗り入れない…もはや需要なしなのに中止も再考もできない大惨事>
以前、僕はイギリスの高速鉄道HS2について書いたことがある――いかにして費用がとんでもなく膨れ上がったかという話だ。だが、さらにひどい事態が待っていた。
端的に言うと……当初計画された路線網の半分にも満たないものを造るのに、おそらく全体の当初見積もりの2倍以上の費用がかかる。驚くべき詳細は以下のとおりだ。
HS2の構想は、ロンドンからバーミンガム経由でマンチェスターとリーズを新たな高速鉄道網で結ぶ、というものだった。総費用は330億ポンド(「現在の価値」では490億ポンド)と見込まれていたが、コスト上昇により、まずリーズ方面の支線が中止となり、続いてマンチェスター方面の支線も、追加部分(リバプールとシェフィールドの手前までつないでその先は低速の在来線に切り替え)も含めて中止された。
つまり、ロンドンと5つの大都市を結ぶY字形の超高速鉄道網になるはずだったものが、結局は(さほど遠くもない)ロンドンとバーミンガムを結ぶ「I字形」の路線になる。それでいて費用は最大1027億ポンドに達する見通しだ(公式には877億〜1027億ポンドとのこと)。
短縮バージョン路線では、イギリス全体の成長率を高め、「レベリングアップ」(英北部地域の潜在能力を引き出し、ロンドンや南東部などのより豊かな地域との経済格差を縮める)を実現するという当初の目標は達成できない。つまり、費用対効果の「効果」からしてみても、大したことはない。