中国の輸出エンジンは依然として極めて強力だ。2025年の貿易黒字は1兆2000億ドルと過去最高を記録し、製造業の競争力を見せつけている。ただし、その巨額マネーが向かう先が変わりつつある。
まず、1兆2000億ドルという数字は税関データに基づいており、誤解を招きやすい。中国はモノの貿易で巨額の黒字を稼ぐ一方で、サービス収支は大幅な赤字を抱えている。25年の赤字額は2380億ドルに達し、うち約1990億ドルは海外旅行支出によるものだ。国内の外国人投資家に支払われる利益や配当を反映した第1次所得収支も1100億ドルの赤字だった。
つまり、25年の経常収支黒字は7350億ドルと過去最高額ではあるが、メディアをにぎわしている貿易黒字ほど巨額ではない。
とはいえ、中国経済の進路を最もよく映し出すのは、この黒字マネーの行き先だ。00年代初頭、その流れは単純だった。中国人民銀行が市場介入で外貨を吸収し、外貨準備として積み上げた上で、主に米国債などの政府系資産に投資していた。
状況は12年頃から変わり始めた。国内の企業や個人に対し、外貨収入の全額を指定された国有銀行に売却することを義務付けていた「外貨強制決済・売却制度」が終了したのだ。中国企業が外貨収入を保有できるようになると貿易黒字が外貨準備の積み増しにつながるという結び付きが弱まった。
15年頃には人民元安への懸念が高まり、企業や投資家は為替ポジションを見直し始めた。企業はドル預金を積み増し、外貨建て債務を返済して、資金を海外に移した。つまり、貿易黒字は国内で外貨準備に転換されて積み上がるのではなく、外貨建て資産として保有される傾向が強まった。
だが、コロナ禍の後、中国の金融市場の開放が進むなか、さらなる変化が起きた。人民元は安定し、対ドルで上昇する局面さえ見られるようになった。企業や投資家は、恐怖から資金を逃がすのではなく、主に債券や株式への証券投資を通じて、より高い利回りを求めている。
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