6月9日、中国の習近平(シー・チンピン)国家主席が2日間の北朝鮮訪問を終えた。首都・平壌では、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の盛大な歓迎を受けたが、両国政府の発表した会談内容には、経済協力の拡大や友好強化といった、ありきたりの言葉が並んでいた。
習にとって今回の訪朝の最大の狙いは、北朝鮮がこれ以上ロシアに接近するのを阻止することだった。
朝鮮戦争で中国が北朝鮮を支援した後、中朝友好協力相互援助条約が結ばれたのは1961年のこと。中国にとって北朝鮮は唯一の条約同盟国になったわけだが、両国関係は長年ぎくしゃくしてきた。
北朝鮮に言わせれば、中国は80年代に改革開放を進めて社会主義を捨てただけでなく、92年には韓国と国交を正常化した。90年代に北朝鮮が大飢饉に見舞われたときも、十分な支援をしてくれなかった。
一方、中国は、北朝鮮が何が何でも核開発を推し進めてきたことに怒っていた。また、脱北者が中国東北部に流入して、人身売買など治安を悪化させている問題もあった。
習は2018年以降、北朝鮮との関係改善に力を注いできた。「朝鮮半島の非核化」に言及しなくなり、経済関係の拡大を唱えるようになった。
それでも、両国の間のしこりが消えたわけではない。なかでも大きな問題は人的関係だ。筆者が中国政府当局者の話を聞いたところ、多くが北朝鮮政府当局者との協力はイライラすると答えた。
中国にしてみれば、なぜ北朝鮮が中国型の経済改革を進めないのか理解できない。北朝鮮の当局者を頑固な田舎者と見下している節もある。