Cynthia Kim Yena Park

[ソウル 8日 ロイター] - 韓国の首都ソウル在住のローラ・ビョンさんは、長らく韓国株よりも米国株の投資信託を好んでいたが、韓国総合株価指数(KOSPI)の猛烈な上昇で、その考え方と借金に対するビョンさんのリスク許容度が変わった。

世界最高のパフォーマンスを記録するまでに跳ね上がったKOSPIの急騰に取り残されたと感じたビョンさんは、約1500万ウォン(9687ドル)の短期銀行当座貸越を利用して、サムスン電子のレバレッジ型ファンドを購入し、約20%の含み益を手にした。

ところがその後、暗転が訪れた。米国市場でハイテク株が売り込まれた影響でKOSPIが8%余り急落すると、8日朝までにビョンさんのポジションの評価はマイナス17%に転落したという。

米連邦準備理事会(FRB)による利上げ観測の高まりが米国株の9週連続の上昇にブレーキをかけ、半導体大手に連動するレバレッジ型上場投資信託(ETF)は下落。ビョンさんの含み益はあっという間に吹き飛び、損失を抱えることとなった。

8日の韓国株は過去3カ月で最悪の1日を記録した。ビョンさんは「何もするつもりはない。どうなるかわからないが、価格が半分にでもならない限り、反発を待つ」と語った。

ビョンさんの経験が象徴しているのは、韓国市場で増大するリスクだ。「アリ」と称される個人投資家による借金を利用した投資の波が、過熱する株価上昇を追いかけ、急激なボラティリティーや痛みを伴う調整を警戒する政策当局者を動揺させている。

韓国銀行(中央銀行)が4日に発表した報告書によると、KOSPIがわずか6カ月で2倍超に上昇し、世界で最も素晴らしい値動きとなる中で、個人投資家による株式へのレバレッジ投資は5月末時点で過去最高の60兆ウォン(390億6000万ドル)に達した。

借り入れによる投資を後押しした要因の1つは、5月27日に導入された、サムスン電子とSKハイニックスに連動する韓国初の個別株レバレッジ型ETFだ。人工知能(AI)ブームで利益が急増しているこれら半導体銘柄に対し、投資家は1日の変動率の2倍の収益を得ることができる。

需要は非常に強く、韓国金融投資協会(KOFIA)のウェブサイトは、個人投資家がこれらの商品を取引するために義務付けられている講習を完了しなければならない初日にアクセスが集中してダウンした。KOFIAによると、これまでに35万人余りが講習を修了している。

<FOMOがレバレッジ・リスクを煽る>

ただレバレッジ投資は諸刃の剣だ。レバレッジ型ETFは利益だけでなく損失も2倍にしてしまう。韓国では1日の値動きの2倍という制限があるものの、後から参入した多くの投資家はこのリスクを過小評価している可能性がある、と当局者は指摘する。

韓国中銀は「株価下落局面において増幅されるボラティリティーに注意すべきだ。特に、取り残されることへの恐怖(Fear of Missing Out=FOMO)から株価急騰を追いかけ、レバレッジへの依存を強めている後発の投資家は注意が必要だ」と述べ、証拠金ローンが半導体株に集中していると付け加えた。

具潤哲(ク・ユンチョル)企画財政相も先週、レバレッジをかけた株式投資の増加に懸念を表明して「過度な群集心理」に伴うリスクを管理すると約束した。

韓国金融委員会(FSC)高官の1人は、レバレッジの水準を監視し、証券会社と定期的に連携していると述べたが、既存の講習義務化以外の新たな規制については、現時点では即時の計画はないと明かした。

現在、サムスン電子とSKハイニックスは時価総額ベースでKOSPIの半分以上を占めており、日中の5%から10%の変動は珍しくなくなっている。

こうしたレバレッジ投資ブームは、コロナ禍以降米国市場に流れていた韓国人投資家を国内に呼び戻そうとする広範な取り組みに起因する面もある。

その試みは成功したと言えるが、行き過ぎた部分があるかもしれない。「アリ」たちは資金を韓国に戻した後、貪欲に投資を行っている。韓国中銀のデータによると、昨年だけでも信用取引による株式投資は72.5%急増し、増加率は米国の36.3%、中国の36%、日本の21%を大きく上回った。

5月の1日平均売買代金は106兆2000億ウォンと過去最高を記録。1月から4月の平均を約60%上回り、昨年平均の約4倍に達した。

聯合ニュースが伝えた地元証券会社の調査では、5月27日から6月1日の間にサムスン電子とSKハイニックスの個別株レバレッジ型ETFに流入した資金のうち、年齢別では40代が28.9%と最大の購入層を占めた。次いで50代が28.7%、30代が22.2%だった。

ソウルに住む40代の主婦は「以前は米国株を取引していたが、戦争が勃発する直前にSKハイニックスを買った。誰もがレバレッジ型ETFを話題にしている。SKハイニックスは現物で買うには上がり過ぎていたので、代わりに2倍のレバレッジ型ETFを買った。ただボラティリティーが激しすぎて不安になる。恐らく近いうちに売るだろう」と語った。

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