Andreas Rinke Tim Hepher
[ベルリン/パリ 8日 ロイター] - メルツ独首相とマクロン仏大統領が、新世代戦闘機の開発・製造に関する共同計画を打ち切ることで合意したと、当局者が8日、明らかにした。欧州で最も野心的な防衛計画の一つが終焉を迎えることになる。
ドイツの当局者によると、両首脳は先週、モンテネグロで開かれた欧州連合(EU)と西バルカン諸国の首脳会議の傍ら、難航する同計画について協議し、数カ月に及ぶ膠着状態を打開する見込みはないとの結論に達した。このためメルツ氏はマクロン氏に対し、共同戦闘機の開発をこれ以上推進しないよう助言したという。
仏大統領府によると、両首脳は同計画について長時間協議し、ドイツとスペインを代表する欧州の航空宇宙大手エアバスと仏ダッソー・アビアシオンという主要な産業パートナーが合意に至らなかったことは遺憾だとの認識を示した。
西側の軍関係者がロシアからの脅威の高まりに警鐘を鳴らし、米国が欧州に再軍備を強く迫る中で、欧州最大の防衛計画の中核を打ち切る決定となる。
仏大統領府は、フランスは独仏の防衛協力が両国と欧州のパートナーにとって引き続き不可欠だと考えていると述べた。
しかし、1000億ユーロ(1160億ドル)規模の同プロジェクトで合意に至らなかったことは、数十年にわたる投資不足を経て、軍事力の再建を進める欧州が直面する困難を浮き彫りにしている。
シンクタンクの国際戦略研究所(IISS)で軍用航空宇宙担当の上級研究員を務めるダグラス・バリー氏は「米国、ロシアのいずれに対しても理想的とは言い難いシグナルだ」と述べた。
同プロジェクトでは、中核となる戦闘機と、共同作戦を組むドローン(無人機)や指揮統制システム「コンバットクラウド」を巡り、仕様や主導権について双方の対立が続き、数カ月前から実現が危ぶまれていた。
欧州の関係者によると、両国は体面を保つ妥協案に向けて動いており、コンバットクラウドなど中核戦闘機以外のシステムは「将来戦闘航空システム(FCAS)」という従来の名称の下で開発を継続する方向だという。
FCASはこの種のシステムの一般名称であり同計画に固有のものではないため、この妥協は主に象徴的な意味合いを持つ。ただ、当局者はマクロン氏が計画全体の打ち切りを宣言せずに中核戦闘機部分を断念できる形式を模索してきた。
両首脳は同計画を存続させるため、ダッソーとエアバスの意見対立を解消するために数カ月にわたって取り組んできた。
両社は現時点でコメントしていないが、ドイツの金属産業労組IGメタルは、ダッソーとエアバスが対等な立場で協力できないことは数カ月前から明らかだったとし、計画打ち切りの決定を歓迎すると述べた。