村田製作所は4月、主要電子部品の価格を15〜35%引き上げる方針を打ち出しました。これはコスト転嫁ではなく、需要の強さを背景とした収益性向上のための戦略的な値上げと受け止められており、市場からは電子部品の供給側の交渉力の強さを示す材料としてポジティブに評価されています。

足元の業績も拡大傾向にあります。4月30日に発表した今期(2027年3月期)の業績見通しは、売上収益が前期比7%増、営業利益が35%増と、いずれも過去最高を見込んでいます。AIサーバー向け特需の本格化と値上げ効果が反映されることで、営業利益が大幅に上振れるとの期待が急速に高まっています。さらに、低迷していたEV(電気自動車)向けも中華圏を中心に回復傾向にあります。

世界の電子部品株が一斉に株価上昇

村田製作所をはじめとする電子部品株は、これまでは市況の変動が激しく、競争で値下がりしやすいスマートフォン向け部品への依存度が高いことから、株式市場では「業績の波が激しい循環株」という評価をされがちでした。

しかし、AIデータセンターという新たな成長インフラの誕生で、そのコア部品を握るプラットフォーマーとして一躍脚光を浴びる存在になりました。村田製作所だけでなく、同じく世界シェア上位の太陽誘電<6976>や、韓国のサムスン電機、台湾のヤゲオ(国巨)など世界の大手電子部品メーカーにアナリストや投資家の熱い視線が集まり、軒並み株価が急伸しています。

もっとも、かなり急ピッチな上昇に対しては、短期的な過熱感を警戒する声があるのも事実です。しかしながら、株価の変動率(ボラティリティ)が大きくなりつつも、中長期的な再評価の余地は依然として大きいと言えそうです。

村田製作所の株価チャート

[筆者]
佐々木達也(ささき・たつや)/証券アナリスト、金融ライター
金融機関で債券畑を経験後、証券アナリストとして株式の調査に携わる。市場動向や株式を中心としたリサーチやレポート執筆などを業務としている。ファイナンシャルプランナー資格も取得し、現在はライターとしても活動中。株式個別銘柄、市況など個人向けのテーマを中心にわかりやすさを心がけた記事を執筆。

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