どちらも引かない状況下で、両国は2つの危険に迫られている。1つは、双方の計算違いによって危険な衝突が勃発する可能性が高まっていること。2国間関係において優位に立ち、面目がつぶれる結果を避けようと必死になれば、台湾や南シナ海など特に問題の多い地域で致命的なもくろみ違いを招く。

2つ目に、敵対心が増大すれば、危機を迅速かつ効率的に解決しようとする努力が阻まれるかもしれない。双方の政権が、「敵」への強硬姿勢を国民の支持集めに利用できると考えてもおかしくない。

今のところは、危機が勃発する確率は高くはない。しかし両国間の緊張の原因がここまで根深いと、状況がすぐに好転するとは思えない。米中両政府は相違点になんとか対処しながら、軍事衝突の危険性を和らげる道を探すことに注力するべきだ。

米中閣僚級会談のように2国間のコミュニケーションを強化することも1つの手だ。そうすることでリスクを減らすというのは、2つの大国にとって最も控えめな目標かもしれない。しかし、世界がますます不安定化するこの時代に米中関係を安定させるためには、達成しなければならない目標でもある。

<本誌2018年12月4日号掲載>

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