Takahiko Wada

[東京 3日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は3日の講演で、中東情勢の影響を巡り物価上振れリスクをより警戒する姿勢を鮮明にした。不透明な状況が続くとしても、先行き「経済の下振れリスクに比べて物価の上振れリスクが高まると判断される場合」には、物価の上振れが経済や金融市場に悪影響を及ぼすことを防ぎ2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現していく観点から、「利上げの是非についてしっかりと議論する必要がある」と述べた。

共同通信社きさらぎ会で講演した。

植田総裁は、企業の賃金・価格設定行動は2022年のロシアによるウクライナ侵攻後の資源価格高騰時と比べ「明らかに積極化している」とし、過去に比べて価格転嫁のスピードが速くなっている可能性があるとした。

その上で「これまでに明らかとなっているデータやヒアリング情報等を踏まえると、全体として物価上振れリスクの方が大きく、より早く表れてくる可能性が高い」と指摘。現実の物価上昇が人々の予想物価上昇率を押し上げ、基調的な物価上昇率が2%目標を超えて上振れていくことがないか、「特に注意してみていく必要がある」と述べた。

現在の日本は、他の主要国や過去の日本と比べても、原油高を起点とする物価上昇の「二次的波及効果」が基調的な物価の上振れにつながりやすい状況にあり、「日銀としても、このことを前提に今後の政策を判断していく必要がある」とも語った。

中東情勢を巡る緊張が今後次第に和らぎ、緩やかな経済成長のもとで基調的な物価上昇率が2%に向けて徐々に上昇していくという中心的な見通しが実現する確度が高まっていくと判断できれば「これまでと同様、適切なペースで政策金利を引き上げていくことになる」とした。

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