Jennifer Rigby Aaron Ross Emma Farge

[ロンドン/ナイロビ/ジュネーブ 27日 ロイター] - エボラ出血熱の感染拡大への対応では、数時間の差が大きく結果を左右する。だが急速な感染拡大に見舞われているコンゴ民主共和国(旧ザイール)では、対応が数週間、場合によっては数カ月も遅れており、リスクにさらされている数千人もの人々がケアを受けられないままとなっている。

世界の保健当局者への取材や、世界保健機関(WHO)とアフリカ疾病対策センターが主導した会議の資料から、当局がいかに今回の対策で後手に回っているかが浮き彫りになった。

足元の感染拡大は「ブンディブギョ株」によるもので、ワクチンも治療薬も存在しない。WHOによると、既に疑わしい例を含め220人が死亡、900人が感染した。さらにウガンダにも拡大し、7人の感染者が確認されている。

医療チームはウイルスにさらされたかもしれない数千人の追跡を急いでいるが、封じ込めを困難にする課題が他にも無数にある。

地域レベルの課題として挙げられるのは、基本物資の不足に加え、過去の流行で影響を受けたコミュニティからの不信感だ。世界的には、米国のWHO脱退や広範な資金削減が対応を妨げていると多くの保健関係者が指摘する。

22日に開催されたオンライン調整会議の資料に基づくと、先週時点でエボラ感染の疑いがある患者の接触者として特定された1261人のうち、追跡ケアができたのはわずか7%だった。WHOは27日、接触者の人数を2000人余りに引き上げた。

<対応を上回る感染スピード>

WHOのテドロス事務局長は27日、感染拡大について、「スピードが対応を上回っている。医療施設への攻撃により、症例や接触者の追跡はほぼ不可能になっている」と投稿した。

最も被害の大きいコンゴ東部では、家族の遺体を取り戻そうとする暴徒が病院を襲撃し、隔離テントを焼き払った。ウイルスに感染した遺体に触れる危険性を認識していなかったとみられる。

医療インフラが脆弱な紛争地域であることが、ウイルスの拡散阻止とリスクのある人々の追跡を妨げていると専門家3人が分析した。

22日の会議の要約資料では、資金や緊急対応要員が徐々に集まる中、より多くの接触者を追跡し特定することが現在の最優先事項だという点で意見が一致していた。

WHOアフリカチームの説明資料には「ワクチンも治療法もない。ウイルスは6週間にわたって検出されない。越境感染も確認された。医療従事者が亡くなっている。十分なリソースを投入できない日が一日あれば、それは流行が拡大する日となる」と記されている。

アフリカ疾病対策センターの主要な助言者の1人で南アフリカの疫学者、サリム・アブドゥル・カリム教授は、感染拡大が「猛烈なスピード」で進んでいると指摘。「中でもイトゥリ州がこうした感染拡大の場所としては最悪だ」と、感染の中心地に言及した。

今回の流行が1976年以来17回目となったコンゴでは、当局者がエボラとの闘いに精通しているとはいえ、ブンディブギョ株を検出するための検査キットを含め、依然として必要な物資の不足が問題となっている。

これも初期段階での発見が遅れた要因となった。

カリム氏は「現場にはほとんど人がいない。他にも車両の燃料確保といった問題が山積みだ」と懸念する。

<米国不在の深刻さ>

エボラ対応の報告を受けた米政府当局者やWHO関係者を含む複数の情報筋は、米国がWHOと協力し、感染症流行への国際的な対応を共同で主導していた時代であれば、問題はより容易かつ迅速に解決されていただろうと話す。

米国は今年1月にWHOを脱退し、国際援助資金を広範に削減した。

米政府高官の1人は「この活動を担えたはずの組織が、もう存在しない」と語った。

支援団体CAREの現地代表を務めるアマドゥ・ボクム氏は、自身の緊急対応チームが3分の1に削減されたと明かす。

WHO緊急委員会メンバーでオランダのウイルス学者のマリオン・コープマンス氏は、流行の規模や発生源が不明な中、全ての潜在的な感染者と接触者を見つけ出すのは「とてつもなく困難」だと述べた。

エボラ出血熱は、発症した感染者の体液や汚染された資材、および亡くなった人の遺体に直接触れることで広がる。このため患者の接触者を特定し、ウイルスの潜伏期間である21日間監視する必要がある。監視期間中にもし接触者が発症すれば、隔離してさらなる拡大を阻止することができる。

国境なき医師団(MSF)のオペレーション副責任者アラン・ゴンザレス博士は「ワクチンや治療薬ができる前のような、封じ込め手段を持たなかった時代のエボラ対応の基本にわれわれは戻ろうとしている」と説明した。

心理的な大きな障壁も存在する。

イトゥリ州で数年前から60の保健センターを運営している国際医療行動同盟(ALIMA)のコンゴ代表ママドゥ・カバ・バリー氏は「人々は恐れている」と語り、不信感から患者が姿を消したり、感染が疑わしくても報告されない例があると付け加えた。

バリー氏や関係者は、2014─16年にかけて西アフリカ全域に広がり、2万8000人を超える感染者と1万1000人の死者を出した史上最悪のエボラの感染拡大の再来を恐れている。

同氏は「西アフリカでは、人々は『自分が死んでも家族が遺体を引き取れないなら何の意味があるのか』と考えて(医療施設に行かずに)姿を隠した」と述べ、今でも学ぶべき教訓が残っていると強調した。

「エボラに慣れることなど決してない。それは常に恐怖だ」

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