<持ち家に住む全国の単身高齢者の数は、大学・大学院・短大の学生の総数よりも多い>

賃貸住宅の家賃が上がっていて、アパート住まいの学生の生活は苦しくなっている。仕送りから家賃を差し引いた額から見当をつけると、大学生の1日の生活費は650円ほどだ(東京私大教連による調査)。1990年代では2500円ほどだったのに比べると、かなり目減りしている。

昔は格安の学生寮があったものだが、今では鳴りを潜めている。そこでルームシェアをする学生が増えていると聞く。友人同士というのが多いが、祖父母世代の高齢者と住む学生もいるという。子どもが独立し、配偶者とは死別し、広い家を持て余している高齢者がいる。そういう人の自宅の一部を安い費用で間借りする、というわけだ。

学生は生活が楽になり助かると同時に、高齢者の側も、寂しさを紛らわせたり孤独死の防止になったりするので、双方にとってメリットがある。こうした異世代ルームシェアは有益だとして、需要と供給のマッチングに取り組む自治体もある。奈良県大和郡山市の「ソリデール」という取り組みは有名だ。

延べ床面積が70平米以上の持ち家に住む、65歳以上の単身高齢者世帯は393万6300世帯(総務省『住宅土地統計』2023年)。この数は、同年の大学学部、大学院、短大の学生の数(298万5441人)よりも多い。これは過疎地も含む全国値だが、学生の数が多い都市部に絞るとどうなるか。<表1>は、東京23区と全国の20の政令市のデータを掲げたものだ。

一番下の合計をみると、そこそこの広さの持ち家に住む単身高齢世帯は約96万世帯、学生数は127万人。割り算をすると、全学生の66%(3分の2)に相当する受け皿があることになる。学生が多い東京23区や京都市では充足率は低いが、他の政令市を見ると100%を超える数値がちらほらある。

これは全学生に対する割合で、親元を離れている学生に対する割合にするともっと高くなる。学生と高齢者の双方にとってメリットがある「異世代ルームシェア」を促す前提条件は十分だ。高齢化・長寿化が進む中、受け皿(表のa)の量は増えこそすれ減ることはない。

同じ屋根の下で暮らすのは、血のつながった家族だけとは限らない。施設の子どもを引き取る里親、友人同士や異世代でのルームシェアなど、いろいろな形態がある。こういう非伝統型の世帯は数の上でも増えていて、非親族を含む世帯の数は1995年では21万世帯だったが、2020年では50万世帯と倍以上になっている(『国勢調査』)。これも社会の変化だ。

日本は豊かな国と言われるが、その持てる富(資源)には偏りがあるのも事実で、空き家と住居難民、食品ロスと飢餓というような、奇妙な組み合わせが同居している。需要と供給をうまくマッチングさせれば、基礎的生活条件に事欠く人の数は大幅に減るはずだ。社会に存在する資源と、それを欲する人の分布を可視化し、引き合わせることが求められる。

<資料>
総務省「住宅・土地統計調査」(2023年)
文科省「学校基本調査」(2023年)

【チャート】東京23区と全国政令市の単身高齢者世帯と学生の数
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