Francesco Canepa Jan Strupczewski
[ニコシア 22日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は23日、ユーロ建てステーブルコインの発行拡大案について、銀行融資を減少させ、金利の制御を困難にする可能性があると欧州連合(EU)の財務相らに警告した。3人の関係者がロイターに明かした。
背景には、ブリュッセルを拠点とする経済シンクタンクのブリューゲルが報告書で、暗号資産(仮想通貨)発行者に対する流動性要件の緩和や、ECBから資金を調達できる手段を得られるようにするべきだと提言したことがある。現在ドルのトークンが支配的なステーブルコイン市場を、欧州で成長させるのが狙いだ。
関係者の話では、報告書の著者が23日にキプロスの首都ニコシアで開催されたEUの財政担当者らの非公式会合で、この構想を提示した。
しかし、提案に対してECBのラガルド総裁ら中銀当局者が即座に反対。こうした動きが銀行預金を不安定にし、経済的に極めて重要なセクターと中銀の金利操作能力を弱めることに懸念を示した。
ステーブルコインが発行される際、購入者の資金は発行者の口座に移り、銀行にとっては安定性の低い資金が生まれる。これが大規模に行われれば「脱仲介化」が加速し、資金調達コストが上昇することで、銀行の融資能力が抑制される事態が、金融政策当局者にとっては不安の種だ。
複数の中銀当局者は、現在は規制対象の銀行部門に限定されている「最後の貸し手」としての役割をステーブルコイン企業にも適用するというブリューゲルの提案に公然と疑問を呈した。
ラガルド氏は今月初め、ユーロ建てステーブルコインに対して懐疑的な見方を示し、代わりに「トークン化された商業銀行預金」を支持すると主張していた。これは、従来の口座の安全性と、分散型台帳技術のスピードやプログラミング可能性の双方を取り込んだ仕組みだ。
一方ブリューゲルのエコノミストらは、米国と比較してEUのステーブルコイン規制が厳格過ぎると、活動が域外に流出し、「デジタル・ドル化」が進むリスクがあると警告している。
ただ会合に出席した中銀当局者は、そうした懸念を重視していない。
数人の当局者は、域内および米国で発行されたステーブルコインの保有者が欧州でトークンを換金することを防ぐためEUが規則を策定するよう改めて求めた。換金が可能になれば、欧州の発行者が準備金の取り付け騒ぎにさらされる可能性があるためだ。
EU欧州委員会は、2024年から施行されている「暗号資産市場規制(MiCAR)」を見直している。MiCARはステーブルコイン発行者に対し、準備金の大部分を銀行預金やその他の流動資産で保有することを義務付ける内容だ。
対照的に、25年に採択された米国の「ジーニアス法」は、規制されたドル裏付けトークンを促進することでドルの国際的な役割を支えるよう設計されており、より緩やかな要件を課している。