Jan Strupczewski

[ニコシア 22日 ロイター] - 欧州連合(EU)の高官らは22日、イラン情勢に起因するエネルギー価格の高騰により、欧州経済はスタグフレーションの傾向にあるものの、各国政府は手厚い財政支援が財政危機や欧州中央銀行(ECB)による利上げを招くリスクに警戒する必要があるとの認識を示した。

欧州委員会は21日、ユーロ圏の経済成長率が2025年の1.3%から26年は0.9%に鈍化し、インフレ率は1.9%から3.0%に跳ね上がるとの見通しを示した。ECBの目標である2.0%を大きく上回る水準だ。

ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のピエラカキス議長は22日、ニコシアでの非公式閣僚会合に臨む前に、「スタグフレーションの圧力は存在するが、欧州には強靭性がある」と発言。「債券市場の不安定さは認識しており、われわれは市民を支援する必要性の一方で、このエネルギー危機が財政危機へと転化することを許してはならないというバランスを取ろうとしている」と述べた。

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は財務相らに対し、エネルギー価格の影響を緩和するために財政政策を過度に緩めれば、ECBは金利引き上げで対応することになると伝えた。

ラガルド氏は会合後、記者団に「われわれはエネルギー価格ショックへの財政対応について議論した。財政措置は『一時的かつ的を絞った、各国の事情に合わせたもの』であるべきだと強調した」と述べた。その上で、「この3原則からの逸脱は実体経済を傷つけ、結果として金融政策スタンスの変更につながる」と語った。

ピエラカキス氏は、財務相らがこのメッセージを受け止めたとし、記者会見で「われわれは皆、金融政策と矛盾することをすべきでないと理解している。財政政策と金融政策は歩調を合わせるべきだ」と述べた。

欧州委は各国政府に対し、最も脆弱な層に絞った一時的な財政支援にとどめるよう求めている。しかし、有権者の不満を警戒する多くの国は既に、全市民を対象としたガソリン税の引き下げなど一律の措置を導入している。

欧州委のドムブロフスキス委員(経済担当)は「政策対応については、一時的かつ的を絞った措置を維持し、限られた財政余地を踏まえ、化石燃料への需要を支えたり押し上げたりしないよう勧告する」と述べた。

イタリアなど一部の加盟国政府は、防衛費と同様に、燃料価格に対する政府の財政支援をEUの財政赤字計算から除外するよう欧州委に働きかけている。だが、欧州委も大半の財務相もこれに賛同していない。

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