Jan Wolfe
[ワシントン 20日 ロイター] - 米連邦最高裁判所は2月20日にトランプ大統領の包括的な関税政策を無効と判断したのに続き、同氏に関わるさらに4件の重大な訴訟について、来月末ごろまでに判決を下す見通しだ。
これらは、出生地主義による市民権の制限、米連邦準備理事会(FRB)理事の解任、米連邦取引委員会(FTC)委員の解任、ハイチとシリアからの数十万人規模の移民に対する保護資格を打ち切ろうとするトランプ氏の取り組みに関するものだ。
最高裁は保守派が6対3で多数を占め、その中にはトランプ氏が1期目の大統領在任中に指名した3人の判事も含まれる。しかし、各訴訟の口頭弁論で判事らが投げかけた質問を踏まえると、出生地主義による市民権とFRB理事の解任を巡る訴訟でトランプ氏は敗訴する可能性がある。
最高裁は次回の判決を21日に示す予定だ。
トランプ氏は2期目の就任初日に大統領令に署名し、両親のいずれも米国市民でなく、合法的な永住権保持者(「グリーンカード」保持者)でもない場合、米国内で生まれた子どもの市民権を認めないよう米政府機関に指示した。
4月の口頭弁論では、判事の大半がトランプ氏の大統領令の合法性に懐疑的な姿勢を示した。
ジョージア州立大学法学部のアンソニー・マイケル・クライス教授によると、トランプ氏が指名したカバノー、ゴーサッチ、バレットの各判事はいずれも、口頭弁論中に大統領の主張を支持する様子を見せなかった。クライス氏は「トランプ政権はおそらく7対2で敗訴するだろう」と述べた。
<クック氏の訴訟>
トランプ氏は昨年、FRB理事のリサ・クック氏を住宅ローン詐欺に関与したとして解任すると発表した。クック氏は金融政策上の見解の相違を理由に自身を罷免するための口実に過ぎないと反論した。
1月の口頭弁論では、クック氏解任は大統領権限の範囲内とするトランプ氏の主張を最高裁が認めた場合、FRBの独立性に悪影響が及ぶことに判事の大半が懸念を示した。
クック氏は訴訟が続いている間、職にとどまることが認められた一方、FTCのレベッカ・スローター委員に対しては、最高裁は同様の措置をとらなかった。保守派の判事らは昨年12月の口頭弁論で、トランプ氏によるスローター氏の解任を支持する姿勢を示した。
大統領がFTC委員を解任できるのは、非効率、職務怠慢、職務上の不正行為など、正当な理由がある場合に限られ、政策上の相違を理由とすることはできないと法律で定められている。同様の保護は、他の20余りの独立機関の高官にも適用されている。
保守派の判事らは、こうした身分保障が憲法上の大統領権限を侵害しているとするトランプ政権の主張を受け入れる姿勢を見せた。
ブラッドリー大学政治学部のタラリー・デービス教授は、クック氏の訴訟における口頭弁論では、判事らがFRBを保護したいと考えていることが明確に見て取れたと指摘した。「しかし、FRBがFTCと法的にどのような原則によって区別されるのかについての答えは聞かれなかった」と述べた。
<一時的保護資格>
最高裁は4月、ハイチからの移民35万人とシリアからの移民6100人について、米政府が数年前に付与した一時的な人道的保護を剥奪するトランプ政権の動きをめぐる口頭弁論を行った。最高裁は伝統的に、移民、国家安全保障、外交政策に関する事項では大統領の判断を尊重してきた。