Chibuike Oguh

[ニューヨーク 20日 ロイター] - 米企業、とりわけ人工知能(AI)に関連する企業が記録的なペースで転換社債市場を活用している。将来的に株式に転換できるという理由から、市場の活況時に投資家の関心を集めやすいこうした債券に対する需要の急拡大を後押ししている。

バンク・オブ・アメリカ・グローバル・リサーチとバークレイズ・リサーチによると、米国内の転換社債の発行額は2026年の1―4月の4カ月間で約340億ドルに達し前年同時期の2倍以上となった。こうした滑り出し状況から、市場は昨年記録した過去最高の1200億ドル余りを年間で上回る勢いだ。

今年発行された転換社債の約半分は何らかの形でAIに関連しており、このテクノロジーが企業の資金調達ニーズと投資家の利回り期待のどちらも満たしている状況が浮き彫りになっている。企業はデータセンター、電力インフラ、クラウド事業の拡張の資金を手当てするために転換社債を利用している一方で、新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)期間中に調達した債務の借り換えにも充てている。

オラクルの50億ドル調達、クラウドインフラ企業コアウィーブの40億ドル調達、オーストラリアに拠点を置くデータセンター企業アイレンの26億ドル調達などが大規模な取引として挙げられる。

電力会社や半導体メーカーもまたこの市場を活用しており、ネクストエラ・エナジーは23億ドル、オン・セミコンダクターは13億ドルをそれぞれ調達した。

アナリストらによると、相次ぐ借り換えの動きもまたこうした流れに拍車をかけている。企業は20―21年のパンデミック期間中のブーム時に発行された転換社債が一般的な満期である5―6年に近づきつつあり、借り換えを進めている。デューク・エナジーの15億ドル発行やマイクロチップ・テクノロジーの9億ドル発行が最近の借り換え事例にある。

伝統的な社債による借り入れのコストが高く、株式の新規発行が既存の株主の利益を希薄化させてしまう現在の高金利環境で、転換社債は大規模な投資資金の手当てが必要なAI特化型の企業にとってとりわけ魅力的になっている。

転換社債は伝統的な社債と同様に固定された利息の支払いをするが、もしも企業の株価があらかじめ設定された価格を超えれば株式と交換できる。転換社債を株式に転換させる機能は実質的に発行体企業の株式に対するコール・オプションを組み込んでおり、このオプションの価値は株価の値動きの激しさが高まったり、変動の幅が大きくなったりすれば上昇する。

そのような投資収益が得られるチャンスがあるため、転換社債は伝統的な社債に比べてはるかに低い金利で売り出されている。例えば、AIを活用して医療分野の臨床データやゲノムデータを分析しているヘルスケア・テクノロジー企業のテンパスAIは、満期6年の転換社債を発行し、利息なしで満期時の元本増額なしという条件で4億ドルを調達したと発表した。

この転換社債は株価が「69.26ドル」に達すれば株式に転換される。5月前半に売り出された時点の株価よりも約40%高い水準だ。

転換社債が持つ債券と株式の二面性という魅力は、値動きが激しく金利が高い現在の環境下で投資家の需要を支えるのに役立っている。指標となる米10年債利回りが16カ月ぶりの高水準となり、債券市場の借り入れコストを押し上げている。

たとえ企業の根本的な信用力が低くても将来的に株価上昇の見返りが期待できるAI関連企業に関心のある機関投資家にとって、株式に転換できるオプション性は魅力的だ。

そうした需要はAI事業拡大の中心となる大企業よりも高い財務リスクがある企業を含めてより広範な発行体を転換社債市場に呼び込んでいる。

バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズのマネージング・ディレクター兼グローバル転換社債部門責任者のマイケル・ヤングワース氏は「市場の運用成績が非常に好調で需要も改善した。こうした要因全てが重なり、企業は極めて有利な条件で転換社債市場に参入できている」と語った。企業は必ずしも特定の資金ニーズが理由でなく「資金を安く借りられるから」市場に来ているのだという。

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