Pete Schroeder Hannah Lang
[ワシントン 20日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は20日、フィンテック企業などノンバンクがFRBの決済システムを限定的に利用できる「スキニー・マスターアカウント」と呼ばれる新たな口座を導入することを提案した。窓口融資や日中信用供与といった伝統的な銀行が使える制度は適用対象外で、FRBへの預入金には利息も付かない。
フィンテック企業や暗号資産(仮想通貨)関連企業は、長年にわたりFRBの「マスターアカウント(FRBに直接保有する口座)」を開設できるようにしてほしいと要望してきた。「銀行のための銀行口座」とも例えられるマスターアカウントを持つことで、口座保有者はFRBの決済ネットワークを介して直接資金を移動できるようになり、取引の迅速化とコスト削減が可能になるからだ。
こうしたノンバンク業界の働きかけに対して、銀行業界は激しく抵抗してきた。銀行側は、規制の緩い暗号資産企業やフィンテック企業にFRBの決済ネットワークへの直接アクセスを認めれば、業務リスクや流動性リスクが生じる可能性があると長年にわたって主張。フィンテック企業の台頭によって銀行がシェアを失うという側面はあるものの、規制の専門家の中には、銀行側の警告には妥当性があるとの声も聞かれる。
昨年2月までFRBの銀行監督担当副議長だったマイケル・バー氏は、ノンバンクへのマスターアカウント付与案に反対し、このアカウントが不正資金調達に利用されないことを保証するための十分な安全策が欠けていると指摘している。
しかしその後状況は変わり始め、昨年12月にFRBはフィンテック企業や暗号資産企業を対象とした新しいタイプの制限付き決済アカウントの構想を初めて浮上させた。その後今年3月には、クラーケンが暗号資産企業として申請から5年を経て初めて、制限付きながらFRBのマスターアカウントを取得した。
暗号資産プラットフォームのリップル、アンカレッジ・デジタル、フィンテック送金企業のワイズもマスターアカウントの取得を目指している。
今回のFRBの新たな提案は、トランプ大統領がFRBに対して決済口座に関する方針を見直し、アクセスの拡大策を検討するよう求める大統領令に署名した翌日に発表されており、従来の構想をより具体化した形だ。
FRBは、今回の提案がアカウント付与や決済サービスへのアクセスに関する法的資格を拡大するものではなく、最終的な決定権は依然として全米各地の地区連銀にあると述べた。ただFRBは新たな仕組みの「一貫した実施」を確保するため、非伝統的な企業から既に提出されているアカウント申請に対する判断を一時停止するよう地区連銀に要請したことを明らかにした。