Joseph Ax Tim Reid

[13日 ロイター] - 11月の米議会中間選挙に向けた「選挙区割り大戦」は、共和党側の勝利となった。ただトランプ大統領率いる同党が下院で過半数を維持するには、それだけでは不十分かもしれない。

選挙区割りの変更を通じ、共和党は民主党が保持する下院議席のうち、最大12議席を覆せる見通しとなった。しかし独立系アナリストらによると、トランプ氏の支持率低下に加え、歴史的に中間選挙で与党が議席を減らす傾向を考えれば、共和党の優位性は相殺される可能性がある。

多くのアナリストは結局、下院選で民主党が依然として優勢だとの見方を変えていない。下院は現在、共和党が僅差で過半数を握っている。

<根本的な政治状況>

選挙予測サイト「インサイド・エレクションズ」で下院選を分析しているジェイコブ・ルバシュキン氏は「下院における共和党の勝算が高まったことは疑いようがない。ただ、根本的な政治情勢は何ら変わっていない」と言う。

共和党の区割り変更工作はトランプ氏が昨年仕掛け、民主党も応戦。ここ数週間で連邦最高裁判所とバージニア州最高裁判所が下した判断により、共和党側に有利な区割り変更のチャンスがさらに増えた。

2024年の選挙で、共和党は下院(定数435)において過半数を勝ち取ったが、民主党との差はわずか3議席だ。だが現在、共和党は既に6つの州で14の選挙区を自党に有利な形に変更しており、さらにルイジアナ、アラバマ、サウスカロライナの各州でも3―4議席を追加しようとしている。一方の民主党はカリフォルニア州で5議席を、ユタ州で1議席を覆す区割り変更にとどまっている。

下院議席はどれも個々の戦いだ。ただバージニア大学政治センターのアナリスト、カイル・コンディク氏によると、南部3州の区割りの行方にもよるが、民主党が過半数を獲得するには全米の得票率で共和党を3―4%ポイント上回る必要が出てきた。

少なくとも現在のところ、大半の世論調査で民主党のリードはこの幅を上回っている。

11日までのロイター/イプソス調査では、登録有権者の41%が「今日選挙が実施されれば民主党候補に投票する」と回答し、共和党の35%を上回った。この6ポイントという差は、共和党が区割りで得た優位性を民主党が覆すのに十分な数字に見える。

トランプ政権1期目の18年中間選挙では、民主党は大統領の実績に対する不満の高まりに乗じて、下院で41議席増やして優に過半数を獲得した。対照的に、民主党のバイデン政権下の22年中間選挙では、保守派が多数を占める最高裁が人工中絶の権利を後退させる判決を下した直後だったこともあり、共和党は9議席の増加にとどまった。

コンディク氏は「民主党が全米支持率で現在のリードを維持すれば、勝利するだろう。しかし22年のような状況になれば、勝敗は五分五分に近づく」と話した。

現在、共和党は逆風にさらされている。トランプ氏が始めたイランとの戦争の不人気ぶりと、それに伴うインフレやエネルギーコストの上昇などが要因だ。最新の世論調査によると、トランプ氏の支持率はわずか36%で、不支持率は63%に達している。

<勝利のメッセージ>

共和党側は、民主党が下院選で有利だという見方を一蹴する。

共和党下院選陣営の広報担当マイク・マリネラ氏は「下院で共和党は攻勢に立っている。なぜなら強力な候補者、資金調達面での歴史的優位性、勝利のメッセージ、そして有利な選挙区割りが揃っているからで、過去の傾向を覆してさらに議席を伸ばせるだろう」と述べた。

わずか2週間前、民主党はトランプ氏が進めた選挙区割り変更工作をほぼ相殺したと自信を見せていた。テキサス、ノースカロライナ、ミズーリといった共和党主導の州に対抗し、カリフォルニアとバージニアの有権者が民主党に有利な区割り変更を承認したからだ。

だが4月29日、フロリダ州議会が民主党の連邦下院4議席を共和党が奪うための区割り変更を承認。同日、連邦最高裁の決定により、各州が民主党に有利な黒人多数派選挙区を撤廃する道が開かれ、南部諸州の共和党が一斉にこれを利用した。

さらに5月8日、バージニア州最高裁は、民主党が作成して有権者が承認した、共和党から4議席を奪うための選挙区割り変更を無効とする判決を下した。

バージニア州の民主党は、州最高裁の決定を覆すよう連邦最高裁に緊急の申し立てを行った。フロリダ、テネシー、ルイジアナなどの州でも、共和党の動きを阻止するための訴訟が続いている。

下院民主党トップのジェフリーズ院内総務は11日、同僚議員らへの書簡で、中間選挙での勝利を誓うとともに、28年の選挙に向けて「大規模な区割り反攻作戦」を開始すると宣言した。

民主党の一部は、一連の不利な判決がかえって民主党支持の有権者を刺激し、11月の投票率向上につながると考えている。

<判決に不満噴出>

バージニア州議会のロドニー・ウィレット議員(民主党)は、州最高裁の判決以来、憤った有権者からメールや電話、フェイスブックでメッセージが絶え間なく届いていると話す。

「大きな失望と明らかな不満が渦巻いている」とウィレット氏。「そのエネルギーを、より良い仕事ができる候補者を当選させる力へと変えよう」と呼びかけたいと語った。

22年、共和党に有利な区割り変更が行われた選挙区で議席を守り抜いたシャリス・デービッズ下院議員(カンザス州、民主党)は、政治的な意図による区割り変更が、自身の支持者を投票所に向かわせたと振り返る。

デービッズ氏は、民主党は有権者に対し、トランプ氏とその仲間らが「政治権力を維持するためにシステムを不正操作しようとしている」と訴えるべきだと話した。

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