武器売却問題で習とタブーの協議

最大の焦点は米国による武器供与だ。昨年12月、トランプ政権は台湾向けに過去最大級となる110億ドル規模の軍事支援パッケージを承認し、中国は台湾周辺で軍事演習を行って強く反発した。

米議会はさらに140億ドル規模の支援も承認しているが、トランプは最終承認を保留している。

トランプは2月、台湾への武器供与について習と電話で協議していることを明かした。これは、台湾への武器供与について中国側とは協議しないという長年の米国の外交原則に反する行為として波紋を呼んだ。

米ブラウン大学の「中国イニシアチブ」責任者で、シンクタンク「ディフェンス・プライオリティーズ」のアジア責任者でもあるライル・ゴールドスタインは本誌に対し、台湾情勢は「極めて危険」だと述べた。

中国の急速な軍備増強によって、台湾を巡る米中衝突が起きた場合、中国側が有利になりつつあるとも指摘。平和維持の観点から、武器売却は協議対象に含めるべきだとの見方を示した。

「武器売却は第3次米中共同コミュニケ以来の議題だ」と彼は語った。1982年のコミュニケで、米国は台湾問題の平和的解決を前提に台湾への武器売却を制限し、段階的に削減すると約束した。ただし、期限は盛り込まれていない。

「だからこそ正当な協議テーマだ。トランプがこの問題を検討していることがワシントンに衝撃を与えたのは確かだが、協議される可能性はある」と、ゴールドスタインは指摘する。

ゴールドスタインは、台湾への武器供与の現実的な制限対象として、長距離ミサイルシステム(ATACMS)を例に挙げた。中国南東部沿岸を射程に収める地対地ミサイルシステムで、昨年12月に承認された支援パッケージには400基が含まれていた。

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