Sudarshan Varadhan
[シンガポール 12日 ロイター] - 市場データによると、イラン情勢の混乱により超低温燃料の供給が妨げられ価格が上昇したことを受け、アジアの主要な液化天然ガス(LNG)輸入国である日本と韓国は、4月から5月上旬にかけて石炭火力発電を拡大した。
日本電力市場データハブと韓国電力取引所(KPX)のデータによると、4月の日本のガス火力発電量は2年ぶりの低水準となり、韓国の発電量は6カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。
これらの燃料シフトは、米国とイスラエルによるイラン攻撃で始まった中東紛争がいかに発電パターンを変容させたかを浮き彫りにしている。世界第2位の供給国であるカタールでは、イランの報復攻撃でLNG輸出能力の17%が停止した。
S&Pグローバル・エナジーの電力アナリスト、アンドレ・ランビン氏は最近の業界イベントで、「この紛争が長引けば長引くほど、燃料シフトの動きはさらに加速するだろう」と述べた。
日本電力市場データハブの統計によると、4月の日本の石炭火力発電量は11.1%急増し、少なくとも1年ぶりの高い伸び率となった。一方、ガス火力発電量は12.9%減の1万6447ギガワット時(GWh)に落ち込んだ。
日本と韓国は通常、6月に需要が増加し始める前に、原子力発電所の定期点検による停止分を補うためにLNGを利用している。
ICISのシニアガスアナリスト、フェイ・シュ氏は「4月の日本の石炭火力発電量の増加により、約4船分のLNG需要が置き換えられた」とし、「4月末時点のLNG在庫は過去5年間の平均水準近くで維持された」と語った。
KPXのデータによると、4月の韓国の石炭火力発電量は前年同月比39.7%増の1万0733GWhとなり、2019年8月以来の最大の伸びを記録した一方、ガス火力発電量は6.4%減少した。
データによると、4月の原子力発電量は日本で前年同月比2.7%減、韓国で14.6%減となり、5月の最初の10日間も減少傾向が続いた。
これに対し、5月の石炭火力発電量は、日本で前年同月比18.3%増、韓国で14.7%増えた。ガス火力発電量はそれぞれ23.4%減、12.2%減となった。
S&Pのランビン氏は、韓国の石炭火力発電所の稼働率が依然として低いことから、同国は石炭をより多く使用する可能性があると述べた。一方、ICISのシュ氏は、日本がガスから石炭へ切り替える能力は、予想以上に大きく、かつ迅速である可能性があると指摘した。
一方、東南アジア全域を襲った熱波により、ベトナムでは先月、石炭火力発電量が12.3%急増して過去最高の1万7864GWhに達し、電力構成における石炭の割合が2024年3月以来の最高水準となったことが政府のデータで示された。
LNG供給危機と猛暑により、世界最大の石炭消費国である中国とインドを除くアジア地域でも、5月の一般炭の船積み量が急増した。ロンドンに拠点を置くDBXコモディティーズによると、同地域の輸入量は前年比9.4%増の3100万トンに達する見込みだ。
ケプラーのデータによると、ベトナムの発電用石炭輸入量は4月に過去最高の540万トンに達した。
データによると、5月の韓国と日本の石炭輸入量は、それぞれ前年比50%超、20%超の増加ペースにある。
アジアのスポットLNG価格は紛争開始以来62%急騰しており、ニューカッスル石炭ベンチマークの13%上昇を大きく上回っている。アジア市場への石炭のサプライチェーンは紛争の影響を受けていない。
DBXコモディティーズのアレクサンドル・クロードCEOは「石炭の価値は、経済性よりも安全保障によって定義されるようになってきている」と述べた。