1080万人以上が人道援助を必要
家に帰った時はボロボロに疲れているのに、人々の苦しみが思い出されてその日の夜はほとんど眠れない。「みんなの顔が目に浮かぶんだ。少し回復すると、次の運搬計画を立て始めるけれど」と彼は言う。
「戦争は兵士と兵士の間でやるべきものであって、民間人、特に子供を相手にやるものじゃない。なのにウクライナでは、苦しめられているのは民間人や子供たちだ」
クルシクたちが訪ねる村ほど前線の近くではない地域でも、ミサイル攻撃や停電など、人々を取り巻く状況は過酷だ。そしてここでも民間のボランティアが、苦しむ人々を支えようと奮闘している。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、今年2月時点でウクライナの国内避難民は約370万人、国外避難民は592万人に上るとみられ、1080万人以上が人道援助を必要としているという。
ヘルソン州の北に位置するドニプロペトロウシク州の都市クリビーリフでも、ロシアの侵攻が始まった22年以降、ドネツクやヘルソンからこの町に避難してきた人々は約20万人に上る。クリビーリフに本拠を置く援助団体「開発都市慈善財団」によれば、避難民は多くの場合、継続的な支援を必要としている。
同財団を率いるマリア・クリニャクは、週に1度、炊き出しを行っているほか、太陽光発電キットの配布を行っている。「この町は(比較的)前線に近く、人々の置かれた状況は深刻だ」と彼女は言う。
「22年以降を見ても例がないほどの大規模な人道危機が起きている」
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