Takahiko Wada
[東京 12日 ロイター] - 日銀が4月27─28日に開いた金融政策決定会合では、中東情勢の先行き不透明感から利上げを今回は見送りながらも早期実施を視野に入れる意見が目立った。ある委員は、国内経済への影響が今後ある程度見えてくることを踏まえると、仮に中東情勢の帰すうが不透明な状況が続いたとしても、次回以降の決定会合での利上げ判断は「十分にあり得る」と話した。
日銀が12日、4月の決定会合で出された主な意見を公表した。同会合では政策金利の現状維持を賛成多数で決めたが、中川順子委員、高田創委員、田村直樹委員の3氏が反対して利上げを提案した。
決定会合では、中東情勢の帰結が不透明なことを踏まえると「金融政策は現状維持が最善だ」との意見がある一方で、「今回は様子見せざるを得ない」とする委員もいた。
次回以降の会合での利上げ判断に言及した委員は「急いで利上げをしなければならないほど切迫した状況ではない」とも述べた。別の委員は、現状は賃金と物価の強いスパイラルが起こることは考えにくいことに加え、現在の基調的な物価上昇率からすれば今の時点で慌てる必要はないが「景気減速の明らかな兆候がない限り、早期に利上げに進むべきだ」と述べた。
ある委員は、原油高が続く中でも「株価から見たセンチメントは堅調さを保っている」と指摘。企業の価格改定行動が積極化する中で物価の上振れリスクは高いとし「物価の安定という日本銀行の使命と、国民の暮らしを守り、安心を支える観点から、金融緩和度合いを調整することが適当」と述べた。
「わが国の実質政策金利は群を抜いて世界最低水準」だとして、「物価上昇の二次的波及に備えて、マイナスの実質金利の調整を続ける必要がある」との意見もあった。
中立金利までまだ距離があるとして「今後、数カ月に一度のペースで利上げを続ける必要がある」との意見も出された。この委員は「物価の上振れリスクが高まる場合には、利上げペースを躊躇なく加速する必要がある」と踏み込んだ。
ある委員は、中東情勢の緊迫が長期化すれば、基調物価の上振れを防ぐため「より早く政策金利を中立金利にまで引き上げる必要が生ずる」とする一方、「本格的なサプライチェーンの混乱となれば、利上げを行わずに緩和的な環境を維持することが望ましい」と話した。
4月の決定会合を巡っては、会合前の植田和男総裁の複数の発言機会で利上げに向けた地ならしとなる発言がなく、市場の利上げ観測が後退していった。決定会合では「『利上げ前には日本銀行が必ずシグナルを出す』と受け止められているとすれば、それは好ましくなく、コミュニケーションのあり方を工夫していく必要がある」との意見も出された。