Rishika Sadam

[ハイデラバード 12日 ロイター] - 米製薬大手イーライリリーは、インドにおける肥満症啓発活動を一時停止した。同国の医薬品規制当局から、処方薬の消費者向け広告は間接的であっても禁止とされる規則に違反する可能性があるとの警告を受けたためだ。ロイターが確認した書簡で明らかになった。

イーライリリーはインドで肥満症と糖尿病の治療に使用されるGLP-1受容体作動薬「マンジャロ」を導入した数カ月後の昨年中盤にこうした啓発活動を開始。肥満を個人の怠慢ではなく慢性疾患として再定義することに焦点を当てる内容だった。

この活動は、新聞広告やSNSへの投稿、ビルボード、国内映画界の有名人とのコラボレーション、さらには一部の住宅地でのポスター掲示など多岐にわたる。メッセージにはイーライリリーの企業ロゴが表示されていたが、マンジャロという製品名は言及されていなかった。

しかしインドの医薬品規制当局は3月にイーライリリーに送った勧告の中で、消費者を間接的に医薬品へと導く可能性のあるサロゲート(代用)プロモーションを含む製品広告は、あらゆるメディアプラットフォームで禁止されていると主張。ブランド想起や製品の視認性を高めるキャンペーンやインフルエンサーの活用は、違反として扱われるとの見解を示した。

これに対してイーライリリーは4月10日付の当局に送った書簡で、3月の勧告を踏まえて「規制上の万全の注意を払って」啓発活動を停止したと述べた。

イーライリリーは、この活動は特定の製品名を出すことなく、肥満への理解を深めることを目的としており、病状について最適なアドバイスを得るために医師らに相談することを促すものであったと説明している。

一方で、この一時停止という決定が「患者や医療コミュニティーの利益に積極的に貢献していた科学的に正当で医師主導の公衆衛生キャンペーンを沈黙させてしまうという、意図しない結果を招いた」と言及した。

また、受け取ったガイダンスが「重大な規制上の不確実性」を生み出しており、ブランド名を出さない医師主導のキャンペーンまでも制限しているようだと苦言を呈した。同時に、インドの規制当局が勧告の中で、同社が公衆啓発活動を行い、医薬品の安全な使用を促進するために医師会と協力することは可能であると述べているとも指摘した。

イーライリリーはこの2つの立場を「相容れない」ものと表現し、透明性の欠如が同社および業界全体を不透明な状況に追い込んでいると訴え、特定の医薬品に言及しない疾患に関する医師主導の議論が、制限の範囲内に含まれるのかどうかも問い質した。

インド医薬品規制総局のラジーブ・ラグバンシ局長は、コメントの要請に応じなかった。

事情に詳しい2人の関係者によると、3月に同社へ送られた別の通知で、規制当局は同社の啓発活動がマンジャロのインドでの発売時期と重なっており、消費者に同薬を間接的に宣伝する可能性があると指摘した。

調査会社ファーマラックによると、インドの肥満症薬市場は現在の173億4000万ルピーから2030年までに年間800億ルピー(8億3937万ドル)に達すると予想されている。

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