区割り変更で共和党は最大14議席を上積みする可能性

最高裁判決の前日、アメリカ有数のシンクタンクであるブルッキングス研究所は「トランプの支持率低下で共和党の中間選挙に暗雲」と題した論評を発表した。既に昨年後半の時点で多くの論者が下院共和党の中間選挙での苦戦を予想していたと指摘した上で、論評は次のように述べている。

「26年最初の4カ月間で、共和党の中間選挙の見通しは一段と悪化した。大統領の支持率は過去最低に落ち込み、イランとの戦争を含む幅広い問題への対応に不満が高まり、有権者のムードも悪化している。これらの重要な指標は、11月に(中間選挙で)民主党がかなり議席を伸ばし、下院多数派を奪還することを示している」

だが今回の最高裁判決によって、共和党はゲリマンダーをめぐる戦いでかなり優位な立場を手に入れた。政治アナリストによれば、特にテキサス、サウスカロライナ、テネシーの各州で露骨な区割り変更が進めば、共和党は最低でも4議席、多ければ14議席を上積みする可能性があるという。

民主党の下院奪還はもはや既定路線とみられていたが、トランプの支持率低迷にもかかわらず、その見通しに疑問符が付き始めた。共和党が下院の過半数を失えば3度目の大統領弾劾が避けられないと分かっているトランプは、この最高裁判決を最大限利用するつもりだ。可能な限り優位な区割り変更を進めるよう共和党関係者に強く迫り、消極的な共和党議員には予備選での追い落としをちらつかせて脅しをかけている。

下院はほぼ自動的に手に入ると考えていた民主党は、今や特定の選挙区により多くのリソースを投入せざるを得なくなり、より困難な上院での多数派奪還に使える資金を削られることになる。

もはや党派対立は行き着くところまで行き、手段を問わない段階に至っている。
 

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