<トランプ大統領の支持率が過去最低となり、今秋に行われる中間選挙では民主党の下院奪還が既定路線とみられていたが……>

秋の中間選挙と2028年大統領選の前哨戦とも言うべき緊迫したやりとりだった。5月5日にロサンゼルスで開催されたシンポジウム。次期大統領選出馬を狙う民主党のラーム・エマニュエル前駐日大使は共和党の「全面的腐敗」を猛批判。やはり次期大統領候補の1人と目される共和党のグレン・ヤンキン前バージニア州知事と激しく対立した。

エマニュエルはトランプ大統領のホワイトハウスを「縁故資本主義」まみれだと断じ、「法の支配より一個人による支配」を優先するトランプ流の政治システムをアメリカ国民は拒否するだろうと主張した。

両党の穏健派を代表する2人は論戦が始まる直前、下院選挙の区割りによって政治的中道が消滅しつつあるとする点で認識が一致していた。エマニュエルは、党派的な区割り変更が過激な指導者を生み出す誘因になっていると指摘した。

エマニュエルの怒りは、間違いなくルイジアナ州の連邦下院選挙区割りをめぐる4月末の連邦最高裁判決に向けられたものだ。この判決では、たとえ1965年の投票権法を遵守する目的であっても、マイノリティー(人種的少数派)の権利を保護するために人種を区割りの主要変数として用いることは違憲とされた。

共和党の大統領が任命した6人の判事は党派どおりに判断を下した。この判決を受けて、共和党は民主党支持者を共和党優位の複数の選挙区に分散させることが可能になり、次回以降の選挙でかなり有利になる。

一方、民主党は南部や中西部で共和党が圧倒的優位を占めているため、共和党ほど自党有利の区割りを行う余地が少ない。共和党は執拗なゲリマンダー(特定の政党に有利な選挙区の区割り)を追求して、「得票率以上に議席を獲得する党」という立場をさらに強化することになる。

区割り変更で共和党は最大14議席を上積みする可能性
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