Atsuko Aoyama
[東京 11日 ロイター] - 4月末の為替介入の前に構築された投機筋の円買いが解消されずに残っている。為替介入を見越したポジションの傾きともみられていたが、さらなる介入への期待が引き続き根強いことの表れとの見方がある。ベセント米財務長官訪日のタイミングで介入効果の「後押し」となる発言への期待もあるとみられているが、肩透かしとなれば円安方向への巻き戻しの燃料となる可能性もある。
投機筋のポジション動向を映すとされるIMM通貨先物非商業部門の取り組み状況によると、5月5日時点の円買い建玉は10万9035枚と、その前の週、介入前の4月28日時点の10万6530枚から小幅に増加した。
円買いの建玉に絞って4月30日の介入前の内訳をみると、より長期の目線とされるアセットマネジャーが2025年の終盤から円買いを半減させたのに対して、より短期のレバレッジドファンドの円買いが米国によるレートチェック(介入の前段階とされる相場水準の照会)が行われた今年1月末から急速に増加。アセットマネージャーとレバレッジドファンドは、いずれも介入後も円買いをやや増加させている。
<円高と円安、「余地」大きいのはどちらか>
4月末に介入が行われた1ドル=160円が上値の「限度」として意識される中、ベセント米財務長官の発言が介入効果の「後押し」となるとの見方は根強い。仮に円買いが一段と積み増されれば、ドル/円の上値を抑制する可能性もある。
「もう一段の円高期待は維持されている」と、あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジストは話す。日銀の利上げの道筋次第では円買いが進む可能性があるほか、イラン情勢が好転すれば、これまでのドル買いの反転も想定される。
「来日するベセント米財務長官が踏み込んだ発言をするかもしれないとの期待は当然残っている」(三菱UFJ信託銀行の酒井基成・資金為替部マーケット営業課課長)との声も聞かれる。
ドル/円に下落方向の余地の方が大きい面もある。最初の介入が行われる直前の160円超の水準まで残り3円ほど。一段の円安余地が限られるのに対し「円買いポジションであれば、5円ほど余地があると期待を持つ向きはいそうだ」(あおぞら銀の諸我氏)との声がある。
一方、既に円買いのポジションが高水準で、円買いの拡大余地はないとの見方もある。イラン情勢は引き続き不透明なままで、一段の原油高や日銀の利上げ後ずれなど、円安材料は今後も想定される。介入を後押しするような発言がないままベセント財務長官が日本を発つことも、円安材料になり得る。
「ポジション繰りが苦しくなれば(円買いポジションは)いずれ解消に向かう」(国内銀行の為替ディーラー)との考え方が、ドル/円を下落しづらくしている一因との声もある。円買いポジションの解消は今後、一段の円安圧力となる可能性もある。
20万枚超まで膨らんでいた円売りの建玉が縮小したことも併せ、差し引きの円売り越し規模は介入前の10万2059枚から6万1738枚へと急減している。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、ドルの157円台で介入を実施し、155円で打ち止めとするなど特定のレベルを守る動きを当局が単純に繰り返せば、「一段の円売り余地を生じさせるだけでなく、(レンジ内でもうけを狙う)円買い投機の恐れも出てくる」と指摘している。