Sam Li Lewis Jackson

[北京 7日 ロイター] - イラン情勢に起因する軽油価格の急騰を受け、中国では今年、大型トラック車両の電動化が加速する見通しだ。世界最大の石油輸入国である中国で、燃料需要の減少スピードも高まりそうだ。複数のアナリストや自動車メーカーが明らかにした。

中国では、ニッチな市場だった大型電動トラックの販売が、政府の補助金、エネルギー補充コストの低さ、充電インフラの拡充により、2025年には新規大型トラック購入の約3分の1を占めるまでの市場に成長した。昨年の伸びは、買い換え補助金制度が間もなく終了すると買い手が予想したため、特に第4四半期に集中した。

商用車情報を提供するCVワールドによると、大部分を電動車が占める「新エネルギー大型トラック」の販売は今年も同様の勢いでスタートした。年初来では前年同期比45%増の4万4000台に達し、大型トラック全体の4分の1以上を占めている。1年前のシェアは20%未満だった。

CVワールドは、季節的な需要増と原油価格の上昇を背景に、4月の大型電動トラックの販売台数も30%増加したと見込む。

S&Pグローバル・モビリティーのシニアアナリスト、ミン・ジ氏は「(イランでの)戦争によって中国国内の燃料価格が押し上げられており、これが従来型トラックの置き換えを必然的に加速させるだろう」と述べた。同社は今月後半に電動トラックの販売予測を上方修正する予定だ。

航続距離が約300キロの大型電動トラックは、主に産業施設と輸送拠点の間の短距離移動に使用されている。ただ長距離コリドー(輸送回廊)も拡大しており、三一重工(Sany)などのメーカーは最大600キロの航続距離を持つ電動トラックを市場に投入している。

乗用車の広範な電動化や、電気および液化天然ガス(LNG)駆動のトラックの急速な普及を背景として、中国における軽油とガソリンの使用量の数十年にわたる成長は逆転した。多くのアナリストは、中国の石油需要が2030年までにピークに達すると予測する。

一部のエネルギーコンサルティング会社は、軽油使用量の減少が以前の見通しよりもさらに速まると想定。GLコンサルティングは、今年の軽油消費量が4.3%減少するとみており、これは開戦前に見込んだ4.1%減から下方修正された。ライスタッド・エナジーは、開戦前の4%減を上回る5%の減少を予測し、これは日量約4万バレルのさらなる減少を意味する。

<割安な運用コスト>

2月28日に米国・イスラエルがイランを攻撃して戦争が始まって以来、中国の軽油の小売価格は27%急騰し、4年前に記録した過去最高値以来の高水準となった。これにより、電動トラックを購入する経済的な妥当性がより説得力を増している。

中国における大型電動トラックの価格は50万元(約7万3500ドル)強で、ディーゼル車の30万元強を上回るが、4月に年末まで延長された買い換え支援プログラムのおかげで、購入者はその価格差の半分近くを相殺できる。

また電動トラックは運用コストが大幅に安い。GLコンサルティングの推定によれば、現在の燃料価格に基づくと、購入価格と100万キロ走行時の燃料・運用コストを含めた生涯費用は、ディーゼル車の半分で済む。

この低コスト化は、中国に大きく遅れているものの、世界第2位の電動トラック市場である欧州への輸出ブームも引き起こしている。国際エネルギー機関(IEA)によると、例えば24年の中国の電動トラック販売台数は計16万台だったが、同年の欧州での販売は2万5000台未満だった。

ロイターは3月、売上トップブランドの三一重工を含む少なくとも12社の中国メーカーが、現在の欧州の平均価格を最大3分の1下回る価格で、今年欧州での販売を開始する計画だと報じた。

中国国内では、三一重工が既に25年にディーゼルトラックの置き換えが加速すると予想しており、電動トラック市場が50%成長して25万台に達するという楽観的な予測を立てていた。

同社幹部は4月ロイターに対して「これまでのところ、原油価格の上昇を考慮するとこの目標を達成する可能性は高まっている」と自信を示した。

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